市川染五郎が若かりし鬼平を演じた思いを告白「父の挑戦に参加させていただいた」<鬼平犯科帳 血闘>
市川染五郎が、5月20日に都内で開催された劇場版「鬼平犯科帳 血闘」の公開御礼舞台あいさつに、中島瑠菜、菊池日菜子、阿佐辰美と共に登場した。 【写真】京都の松竹撮影所を振り返る市川染五郎 ■劇場版「鬼平犯科帳 血闘」あらすじ 時代小説の大家・池波正太郎の三大シリーズの一作品で、“時代劇の金字塔”である「鬼平犯科帳」を、池波正太郎生誕100年記念作品として松本幸四郎(十代目)主演で実写化したもの。第一弾として1月8日にテレビスペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」(時代劇専門チャンネル)が大好評となり、同作は第二弾。 長谷川平蔵(幸四郎)が若かりし頃に世話になった居酒屋の娘・おまさ(中村)が密偵になりたいと申し出てくる。平蔵はその願いを退けるが、おまさは平蔵が芋酒や「加賀や」の主人と盗賊の2つの顔を持つ鷺原の九平(柄本)を捜していることを知り、独断で探索に乗りだす。九平を捜すうちに兇賊・綱切の甚五郎(北村)の企みを知ったおまさは、首尾よく綱切一味の中へ入り込む。しかし、おまさは絶体絶命の危機に陥る。 ■市川染五郎「あの時代の“熱さ”をお届けしたいという思いでやらせていただきました」 登壇した染五郎は、時代劇への出演について「リアルタイムで放送されている時代劇を見るという環境ではなかったのですが、自分が最初に時代劇で衝撃を受けたのが萬屋錦之介さんの『反逆児』(1961年)という映画で、『この熱さは何なんだ!』と思って! 今回、『鬼平』に出演させていただきましたけど、『あの時代の“熱さ”をお届けしたい』という思いでやらせていただきました」と述懐。 また、時代劇での芝居について「歌舞伎を小さい頃からやってきて、染み付いているものは存分に生かしてやりたいなとは思いましたし、映像作品でも時代劇が続いているということもありまして、時代劇に入っていくことに対する違和感はなかったです」と明かした。 さらに、京都での撮影について「京都の松竹撮影所で撮影していたのですが、10年以上前にちらっと父の時代劇のドラマに出させていただいたことがあって、その時にお邪魔して以来だったんですけど、その時と同じチームではないのに不思議と『お帰りなさい』って言ってくれているような温かさを感じて、すごく居心地が良かったです」と振り返った。 ■父・松本幸四郎からの手紙に感激しながらも「もうちょっと書いてほしかった」 舞台あいさつでは、それぞれが演じた役の未来の姿を演じた役者陣から手紙が寄せられ、司会者が代読する場面も。 染五郎宛ての幸四郎からの手紙では、「銕三郎に愛情を降り注いで演じ抜いた染五郎、頼もしかった」という内容が読み上げられると、染五郎は「もうちょっと書いて欲しかったです」とコメントして爆笑をさらいつつ、「うれしいですね。『―本所・桜屋敷』も『―血闘』も、ここまで銕三郎自体がフォーカスされたことがなかったので、そういう意味では前例がない中でやらせていただいたので不安もあったのですが、とにかく『父が主役で、父の挑戦に自分が参加させていただいた』というスタンスで出させていただいたつもりなので、『とにかく主役の力になれば』と思っておりました」と銕三郎を演じた思いを語った。 ◆取材・文=原田健