感染対策の立役者は「柴犬」だった!?…若き天才が考案した「スポークス”ドッグ”」を用いた「巧妙な戦略」とは?
コロナ禍において国民全員にマスクを配布するシステムをわずか3日で構築し、世界のグローバル思想家100人にも選出された若き天才オードリー・タン。自身もトランスジェンダーであるタン氏が、日本の若者に向けて格差やジェンダー、労働の問題からの「解放」をわかりやすく語る『自由への手紙』(オードリー・タン著)より抜粋してお届けする。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『自由への手紙』連載第17回 『天才が”自由”を知った14歳での「旅」…大昔から台湾には「インターセクショナリティ」が存在していた...! 』より続く
“Fast Open Fair & Fun”(速やかに、オープンに、公平に)
新型コロナウイルスに関して「台湾の感染予防対策の成功要因とは?」と問われるたび、私は「速やかに、オープンに、公平に楽しくやることが大切です」と答えていました。 「速く」という点で言えば、台湾の情報は非常に速かった。2020年、中央流行疫情指揮中心(CECC)は、新型コロナウイルス感染症対策について3ヵ月間ほぼ毎日記者会見をひらき、それをライブストリーミングしていました。 また、フリーダイヤル1922に電話をすれば、誰でもソーシャルイノベーションのアイデアをCECCと共有できるようにしました。 各薬局のマスク在庫量を、みんなが知ることができるアプリを導入し、在庫量は3分ごとに更新されるようにしました。
「楽しさ」を忘れてはならない
こうして1922に電話をすれば、どんな人も疑問、意見、アイデアを言える。国民健康保険証さえもっていれば、外国人を含む台湾に住むみんながマスクを購入できる。さらに在庫を知るアプリに付随して、目が不自由な人も音声によって同じ情報にアクセスできるアプリもつくる――まさに「速やかに、オープンに、公平に」を具体化するかたちで、新型コロナウイルス対策は進んでいきました。 もちろん「楽しさ」を忘れてはなりません。 たとえば、感染症予防の注意事項。くしゃみや咳をするときは、鼻と口元を覆うエチケットを忘れずに、2m以上の距離を保ちましょう、手洗いをしっかりと……。 これらを促すのは、衛生福利部(日本の厚労省に相当)のスポークスマンならぬ、スポークスドッグ。犬が予防対策を説明しているかわいらしい画像や動画のほうが、ミームとなって拡散しやすく、味気ない注意喚起にも楽しさが加わるというわけです。 『女性議員は日本の“6倍”⁉…ジェンダー先進国台湾で行われている驚異の「意識変革」とは』へ続く
語り)オードリー・タン