ゲーム条例の施行から4年半…香川県議会で論戦 成果の検証や「依存症」名称を巡り
KSB瀬戸内海放送
香川県が全国で初めてとなるネット・ゲーム依存症対策条例、通称「ゲーム条例」を施行して4年半が経ちました。条例の成果や課題について、県議会の委員会で議論が行われました。 【写真】県教委が配布している依存予防対策の「学習シート」の修正案
香川県議会の文教厚生委員会で質問に立ったのは、条例の施行後に県議に初当選した立憲・市民派ネットの植田真紀議員です。条例による効果と、それを第三者に評価・検証してもらい、発信する考えがあるかをただしました。 香川県子ども政策推進局の井手下局長は、県と県教委が行ってきた保護者向けの講演会や医療提供体制の充実などの施策を説明し、「一定の効果が出ているが、引き続き取り組んでいきたい」と答えました。 一方、第三者による検証については「県議会に事業の成果を報告し、議論してもらっている」とした上で……。 (香川県子ども政策推進局/井手下 慶博 局長) 「現時点ではご提案の第三者による検証、結果の発信ということは考えてございません」 (立憲・市民派ネット/植田 真紀 議員) 「県議会は第三者ではありませんので。県議会に報告して議論をしていると。決算などで報告はするかもしれないけど、少なくとも議論をされていないと私は思っています」 続いて議論になったのが条例の名前にある「ネット・ゲーム依存症」という言葉についてです。 (立憲・市民派ネット/植田 真紀 議員) 「ネット・ゲーム依存症という病気があるのか、あったらぜひ教えていただきたい」 (香川県子ども政策推進局/井手下 慶博 局長) 「こちらについては疾病名とはとらえておりませんで、条例上で定義する状態像であるということでございます」 香川県教委が児童・生徒に配布している依存予防対策の「学習シート」。2024年度の改訂では、それまで「ゲーム症(ゲーム依存症)」としていた説明が「ゲーム行動症(ゲーム症)」に文言が変わりました。 学習シートの監修をした医師が「『依存症』という語は誤解や偏見につながりやすい懸念があり、該当する子どもたちの立場を守るためにも今一度検討ください」と意見したことがきっかけでした。 植田議員は、ゲームが好きで長くやりすぎてしまう子どもへの教育的な指導と、医療機関につなげる必要がある深刻な状態な子どもへの支援が条例の中で「ごちゃ混ぜ」になっているのが問題だと指摘しました。 (立憲・市民派ネット/植田 真紀 議員) 「ちょっとゲームが好きな子ども。でも、これを見るとゲーム依存だというふうになっている。状況として、この条例の中がごちゃ混ぜだから。誤解や偏見から子どもたちを守るために(条例を)見直しましょうということをどのように考えるのか」 (香川県子ども政策推進局/井手下 慶博 局長) 「他の依存症も含めて、本人の意志の弱さであるとか性格の問題というふうに誤解がされがちだということで、偏見や差別の対象になるという問題があるというふうに私も認識をしております。ここも広く理解を求めていきたいと考えております」 厚生労働省の専門部会は9月19日、WHO・世界保健機関の「国際疾病分類」の最新版の和訳について了承しました。 ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる状態についてはこれまで通称で「ゲーム依存症」や「ゲーム障害」などが使われてきましたが、「ゲーム行動症」という訳が採用され、今後統一されることになります。 香川県の条例の前文にも「ゲーム障害」という言葉が使われていますが、井手下局長は「条例制定の趣旨が変わるものではない」として条例の文言の改正などは行わない考えを示しました。
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