新紙幣の発行後は旧紙幣が使えなくなる?【ファクトチェック】
2024年7月3日から、新しい日本銀行券(1万円札、5千円札、千円札)が発行され、旧紙幣が使えなくなるという言説が拡散していますが、誤りです。同様の言説は過去にも拡散していますが、一円札以上の旧紙幣は今後も使うことができます。
検証対象
2024年2月12日、新しい紙幣の発行後は旧紙幣が使えなくなり、タンス預金があぶり出されるなどと主張する言説が投稿された。同様の言説はたびたび拡散している。 中には「コンビニのローソン」など、特定の店を名指しする投稿もあった。100万を超える閲覧のある投稿や動画がある。
検証過程
政府は、2024年7月3日に1万円札、5千円札、千円札の新しい紙幣を発行する。20年ぶりだ。 新しい紙幣の発行にともなって、旧紙幣が使えなくなるという言説が繰り返し拡散している。しかし、国立印刷局の特設ウェブサイトは、古い紙幣も引き続き使えると説明している。
サイトによると、1885年に発行された一円札も使うことができるといい、全部で18種類ある。 日本銀行も6月10日、Xの公式アカウントで「従来のお札は、新しいお札が発行された後も、引き続き、使うことができます」と説明し、誤情報や詐欺に注意するよう呼びかけている。 日本ファクトチェックセンターが、日本銀行に今回の新紙幣発行の狙いについて取材したところ、日銀発券局から以下の回答を得た。 「今、皆さんにお使い頂いている銀行券の発行を開始した2004年11月から約20年が経過しています。この間、コピー機などの印刷技術は大幅な進歩を遂げており、足もと偽造が増えている訳ではないですが、中長期的にも偽造抵抗力を確保していく必要があります。また、海外に目を向けると、誰もがより利用しやすい『ユニバーサルデザイン』に力を入れた銀行券の発行が進められています」 「今回の改刷は、こうした状況を踏まえ、独自性と先進性を備えた最新の偽造防止技術を搭載するとともに、どなたにも、より分かりやすいものとすることを目指しています」 また、旧紙幣が店舗で使えなくなるという言説が拡散したローソンの広報に取材したところ、ローソンは5月16日までに全店でプログラム変更を終えており、新紙幣も旧紙幣も全ての店舗で使えるという。