投資魅力度が増しているグローバル債券市場、債券アクティブファンドの活躍余地広がる=PIMCOの見通し
為替が1ドル=155円に迫る34年ぶりの円安局面を迎え、改めて日米の金融政策の行方が注目を集めている。年初には米国は6月にも利下げが始まるという見通しが優勢だったが、今では年内に利下げが行われるのかさえ疑わしく、中には、一段の利上げの可能性すら取りざたされている。一方、日本は3月にマイナス金利政策を解除したが、その際に「当面、緩和的な金融環境が継続する」とした。この日銀の態度が米国の利下げ時期が後退したことによって円がじりじりと値崩れしている要因の1つになっている。世界最大級の債券運用者であるPIMCOの日本法人ピムコジャパンリミテッドの共同代表兼アジア太平洋共同運用統括責任者である正直知哉氏(写真)は4月23日にメディア向けの説明会を開催し、「現在のグローバル債券市場で『米国経済の「例外さ」』が重要なポイントと市場の見方を示した。各国の金融政策の動きがバラバラになることによって市場に歪みが乗じて「パッシブファンドよりアクティブファンドに優位な市場になっている」とした。
正直氏は、グローバル経済の現状について、「2023年の先進国の経済成長率が1.6%と多くの国で潜在成長率を下回る成長となり、インフレ率は2022年後半~2023年前半にピークを打ってインフレ高進が減速基調にある中で、『米国経済の「例外さ」』が重要なポイントになる。米国の2023年GDP成長率は2.5%、うち第4四半期(10ー12月期)は3.4%となった。これは米国の潜在成長率を上回る成長だ。これによって米国の利下げに向けた動きが変わってきている。
「米国の例外さ」の理由は、ひとつには、パンデミック(コロナ・ショック)時に財政刺激策の規模が極めて大きかったこと。「この影響もあって、米国の財政赤字は2024年~27年にかけてGDP比で6~8%の水準になる見通し。これは、他の先進国が4%程度の水準にあることと異なっている」とした。また、中国経済の減速に伴う低インフレの波及効果についても、「米国は欧州や東南アジアと比較してGDPに占める中国からの輸入割合が低いため、中国の影響を受けにくい。GDP比で中国からの輸入は欧州は3%を占めるが、米国は1.5%だ」とし、米国経済が欧州などとは違うメカニズムで動いていることを示した。