クラシック界最大のカリスマの一人、フルトヴェングラーが指揮するベートーヴェンの『運命』/クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
ベートーヴェン 『交響曲第5番“運命”』―運命はこのように扉を叩くのだ
今日11月30日は、指揮者ウィルヘルム・フルトヴェングラー(1886~1954)の命日です。 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を1922年から45年まで務め、1947年から54年は終身指揮者として活躍したフルトヴェングラーは、クラシック界最大のカリスマ的存在でした。 若手指揮者がベルリン・フィルのリハーサルで、オーケストラから思うような音が引き出せずにいたところ、突然素晴らしい音が出始めたことに驚いて後ろを振り向くと、部屋の入口にフルトヴェングラーが腕組みをして立っていたのだとか。まさにカリスマ。これぞ指揮者に望まれる最大の資質なのかも知れません。 そのフルトヴェングラーが得意としていたのがベートーヴェン。中でも交響曲第5番『運命』のど迫力は格別です。有名な「ン・ジャジャジャジャーン」について、“運命はこのように扉を叩くのだ”とベートーヴェンが語ったという言い伝えによって『運命』と呼ばれるようになった作品の意味と価値が心に響く名演です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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