日経平均の最高値更新から見える、日本株市場の特殊さと「物足りない」と言わざるを得ない理由
アメリカの株式市場を主戦場としてきた者にとっては「随分時間がかかった」という感想。「持ってはいけない資産」だった日本株は、未だ「持たなければならない資産」ではない
2月22日、日経平均株価が史上最高値を更新しました。日経平均株価は、1989年12月に前回の史上最高値をつけたわけですから、約34年ぶりの最高値更新ということになります。(編集部注:3月に入り、史上最高値をさらに更新。4万円も突破した) 【表を見る】10年間で年収が増えた職業、減った職業 もし私が日本株の運用担当者を長くやっていたならば、現在の局面を、おそらくは特別な感情で受け止めていたことでしょう。 しかしながら、アメリカの株式市場を長期にわたって主戦場としてきた私にとっては、日経平均株価が最高値を更新しても、「随分時間がかかった」という感想が真っ先に来てしまいます。 アメリカ市場は、数年ごとに最高値を更新し続けています。株価というのは、長期的には業績に連動するものですから、経済が成長して、それに呼応して企業の業績が改善すれば、自ずと株価は上昇するわけです。 その点を鑑みれば、34年も最高値が更新されなかった日本株市場というのは、極めて特殊なマーケットであると言わざるを得ません。 ここで、なぜ日本株市場が長期で低迷したのかを整理し、現在の状況は過去と何が違うのかを考えてみたいと思います。
日本株市場、長期低迷の背景
まず、日本株市場が長期にわたって低迷した背景について整理します。 ■経済の失速 1990年代初めに日本はバブル経済の崩壊を経験し、その後、長期間にわたって経済の停滞が続きました。企業の業績が低迷したことで、株式市場も低迷しました。 ■デフレ 日本は長期間にわたってデフレ(物価の下落)に苦しみました。デフレは企業の収益を圧迫し、投資家の信頼を損ないました。 ■少子高齢化 日本の人口減少と高齢化は、経済成長に対する重石となっています。少子高齢化により労働人口が減少し、経済活動に悪影響を及ぼしています。 ■構造改革の遅れ 日本は構造改革を進めることが遅れていました。規制緩和や労働市場の改革などが必要でしたが、実施が遅れていたため、経済の活性化が妨げられてしまいました。