【ミドシップ&電動化に異議あり?】 E-Rayは8代目コルベットの大本命となり得るか
進化と伝統が混ざり合ったE-Rayこそ本筋?
0-100km加速がブガッティ・シロンよりコンマ1秒遅いだけと聞くと尻込みしてしまう。だがそんな加速性能を電子制御可変のアシ、マグネッティック・セレクティブ・ライドコントロールが見事に抑え込んでいる。スタビリティが理解できると、ハイパワーのミドシップ車だからと構えることなく、スロットルを踏み倒せるようになってくる。 そう、E-Rayは機構的には以前よりはるかに複雑でパワフルだが、絶えず乗り手をリラックスさせ楽しませてくれるという点では、歴代コルベットの延長線上にあるといっていい。そんなスタビリティの源泉になっている電動化は、FRレイアウトでは実現が難しかったはず。そう考えるとE-Rayは派生ではなく8代目の本筋なのかもしれないと思えてきた。 実用の部分ではボディ前後のラゲッジスペースが広大というのもコルベットらしい部分だし、大きなサイドミラーのおかげで斜め後方の視界が良いのもうれしい驚きだった。 残念なのはEV走行のモードが始動前にしか選択できないことと、レーンキープ等の車線維持支援システムが付いているにもかかわらず、クルーズコントロールがアダプティブではないという点だった。 だがそれよりも重要な事実は、今回E-Rayをドライブしたことで、時代が求める要件を取り込みつつ、しかし歴代モデルの延長線上にあるという、コルベットの最新の立ち位置が確認できたことなのである。
吉田拓生(執筆) 神村聖(撮影) 平井大介(編集)