鎌倉時代の「毘沙門天立像」に見入る来場者＝金沢市の石川県立美術館

　金沢市の石川県立美術館で開催中の奈良国立博物館展「まるごと奈良博」は20日、県内のほとんどの小中学校が夏休み入りしてから初の週末を迎え、多くの家族連れでにぎわった。土曜は開館・閉館時間がそれぞれ1時間延長された。仏像についての講演会も開かれ、子どもから大人までが至高の仏教美術に浸った。 　講演会では仏像に詳しい奥健夫武蔵野美大教授が奈良博の所蔵品の見どころを解説した。「走り大黒」で知られる「伽藍神立像（がらんしんりゅうぞう）」は右手にくぎ、左手に槌（つち）を持ち、不信心者に懲罰を行う役割を持っていると紹介。一方、福の神として知られる大黒天も罰を与える側面があり、「恐ろしい性質を持つ神が福神に転ずることがある」などと語った。 　国宝8点、重要文化財93点の計205点が前後期に分けて展示される会場には、団体鑑賞も相次ぎ、福井からのツアー客約30人が鎌倉時代の「毘沙門天立（びしゃもんてんりゅう）像（ぞう）」などに見入った。 　奈良博展は「ポスト国民文化祭」の目玉事業として県、県立美術館、北國新聞社でつくる実行委員会が主催する。前期は28日まで。21日の開館時間は午前8時半～午後6時。入場料は一般1500円、大学生千円、高校生800円、小中学生500円。内灘町以北の小中学生は無料。後期は31日～8月25日に開かれる。