〈横浜美術館〉が約3年の休館を経て3月15日リニューアルオープン。子どもと子育て世代にやさしい美術館へ
2025年2月にあらためて全館始動。その見所は?
この子どもと子育て世代に向けた取り組みの一部は3月15日から始まる『第8回横浜トリエンナーレ』から実現します。 横浜トリエンナーレ開催中はこどものアートひろば「はらっぱ」と名付けた部屋が設けられることになっています。部屋の中は乳幼児や一緒に訪れた保護者が安心して休憩できるような空間になります。室内では予約不要の簡単なワークショップも開催される予定です。 「お子さん連れでなくても、のぞいてみていただきたいです」と蔵屋さん自身も楽しみにしている様子。 横浜トリエンナーレが6月9日(日)に終了したあとは、半年ほど準備期間に入って設えを整え2025年2月にあらためて全館始動することになっています。 全館始動後には、横浜美術館のシンボルともいえる開放的なスペース、グランドギャラリーの「じゆうエリア」に誰でもくつろいだ時間を過ごせるようにといくつもの椅子やテーブルが置かれます。「じゆうエリア」は2024年11月から一部がオープンします。 「チケットを買わなくても入れる無料エリアなので、展覧会に入場されない方でも、座っておしゃべりしたり、コーヒーを飲んだり、もちろん展覧会のあとに休憩していただいても。建物の前にある『美術の広場』で遊ぶお子さんたちにも入りやすい工夫をしていきたいと思います」 ■やさしい日本語を使うことで、より多くの人が美術を楽しめる場所に ところで、ミュージアムメッセージ「みなとが、ひらく」はすべてひらがなです。これは漢字によって固いイメージになることを避けただけでなく、子どもたちはもちろん、やさしい日本語なら読める横浜在住の外国にルーツを持つ人たちに向けたメッセージでもあります。 「展覧会のタイトルも、難しい言葉が使われると、意味がわかる人向けだと受け取られてしまうことがあります。なるべくやさしい言葉で、誰でも理解できる、でも考えると深いもの。そういうものをミュージアムのメッセージや、今後の展覧会タイトルやプロジェクトの名前にしていきたい。それは私が着任して最初に考えたことのひとつでした」 休館中には、コレクション作品約700点分の解説文をやさしい言葉で書き下ろす通称「やさしい日本語プロジェクト」も実行されました。 蔵屋さんが学芸担当者に目安として提案したのは、美術を専門としない20歳前後の大学生が読んでわかるような言葉で長さは300字程度の文章であること。 「多くの人は言葉でものごとを考えます。ところが美術作品を見るということは、色や形や構図などから発せられる『視覚言語』という別の言語を読み解くことなのです。ほとんどの方はそんな訓練は受けていません。だから例えば絵画の隣に、こういうふうに見るといいですよと文章によって導くものがあると、もっと多くの人が美術作品にアクセスできると考えています。今回の取り組み自体は小さなことですが、将来に渡ってじわじわと美術を楽しむ人が増えることにつながると期待しています」 約3年のリニューアル工事を終え、活動再開を控えた横浜美術館。これまで以上に幅広い人に開かれた場所になりそうです。 information 横浜美術館 住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1 TEL:045-221-0300(代表) 開館時間:10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで) 休館日:木曜、年末年始 2024年3月14日(木)まで休館中 ※開館日・時間は展覧会により異なる場合があります。 writer profile Saori Nozaki 野崎さおり のざき・さおり●富山県生まれ、転勤族育ち。非正規雇用の会社員などを経てライターになり、人見知りを克服。とにかくよく食べる。趣味の現代アート鑑賞のため各地を旅するうちに、郷土料理好きに。 【コロカルニュース】とは? 全国各地の時事ネタから面白情報まで。コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。