老舗店の「みそ蔵開き」盛況 消費減対策に新商品開発など知恵絞る
長野市の老舗みそ蔵「酢屋亀(すやかめ)本店」が14日から2日間、「みそ蔵開き」を催し、みそ蔵見学などのイベントに例年を上回る来場者がありました。みそ消費の減少に直面しながらも新製品開発などに挑戦するみそ業界。一方で安心の伝統食品への関心も高まっているようで、「造り手からさらなる情報発信をしたい」と製造スタッフらは知恵を絞っています。
みその元の塊を「ペタッ」と投げつける
酢屋亀本店は創業115年の有限会社(青木茂人社長・従業員43人)で、みそ造りの本場・信州に約100社あるみそ製造・販売事業所の一つ。みそ製造の実際を知ってもらおうと始めたみそ蔵開きは今年で25回目で、途中の休止期間を含めると30年間続いています。 みそ造り体験やみそ蔵探検、たけのこ汁の振る舞いなどのほか、つきたての餅の提供など多彩なイベントを用意し、午前中から行列ができるにぎわい。同社によると2日間の来場者は昨年を1割上回る4400人でした。
みそ造り体験では小学生を伴った家族連れが目立ち、工場の指導を受けながらの仕込み。煮大豆7.8キログラム、糀(こうじ)4.2キログラム、塩1.7キログラムなどの材料表を見ながら、丸めたみその元の塊を「ペタッ、ペタッ」とおけの中に投げつけます。「投げつけるのは、みその塊の中の空気を抜くためです」と工場スタッフ。
工場見学のみそ蔵探検では高さ1.8メートルの木のおけを青木社長が説明。「最近は強化プラスチックやステンレスのおけが使われますが、私は木のおけにこだわっています」。杉材で作った大きなおけは1本100万円と、ほかの素材の3倍もしますが「いいみそを造りたいというこだわりです」。
みそで「ソフトクリーム」や「カレー」
同社によると全国のみそ製造は年間約40万トンで、そのうち長野県は半分の20万トンを占めます。県内の大手メーカーはそのうちの10万トンを占め、酢屋亀本店は年間300トン。「大手さんの1日分の生産量がうちの年間生産量です。生産規模が違います」。 しかし、みその消費は減っていて、青木社長によると「みそ消費は昭和40~50年がピークで、その後、減少に転じ現在までに消費量は40%減ったと感じている」。生き残りのために業界が30年ほど前から取り組んだのがみそ関連の新製品の開発です。