七日町通り(11月23日)
ローマは一日にして成らず―。繁栄する都市や大事業の成功を目にした時、脳裏に浮かぶ。多くの人が行き交う会津若松市中心部の七日町通りにも、お似合いの言葉だろう▼周辺にバイパスが開通し、郊外店が進出した影響で、約800メートルの通りはかつてシャッター街だった。有志が再生へ立ち上がる。1994(平成6)年、七日町通りまちなみ協議会を設立し、蔵や洋館など歴史的な建物を生かした街並みづくりを進めた。空き店舗も改修し、レトロな風情漂う景観に統一した。地道な活動が実を結び、今では年間45万人が足を運ぶ▼地域の個性は起業家も引き付ける。抹茶専門店、赤べこに特化した観光施設、街に調和した素泊まりホテル…。近年、新規出店が続く。市外出身や若手の経営者も少なくない。柔軟な感性が街に新たな風を吹き込み、にぎわいを生んでいる▼地方の商店街が衰退する時流にあらがい、魅力づくりにまい進して30年。協議会はきょう23日に記念式典を催す。節目は次への出発点でもある。関係者は先進地視察を重ねるなどして、さらなる未来へ歩む。目標は年間来訪者100万人。ローマ人ならぬ会津人の休日なき挑戦が新たに始まる。<2024・11・23>