東京のホテルで障がい者アーティストが制作した「客室まるごとアート作品」を楽しむ
東京都内のホテルに、障がい者アーティストが制作した「客室まるごとアート作品」が完成した。内部は夢と色彩がいっぱいの絵で埋め尽くされ、その名も「玉手箱」。1月29日にその内覧会が行われた。 「玉手箱」が完成したのは、東京都港区のパークホテル東京。同ホテルでは、これまでも客室が丸ごとアート作品になっているアーティストルームが38室あり、海外からの宿泊客も含め人気を集めている。
今回、34階に完成した「玉手箱」で39室目となり、「玉手箱」の予約開始は3月からの予定。制作を担当したのは、障がい者アート作品のコンテスト「パラリンアート世界大会2022」準グランプリ受賞者のおおはしみささん。 宿泊者に「ワクワクドキドキしていただける部屋」にしたいと思い、壁や天井などに絵を描いた。描かれた虎や竜の口からは不思議な模様や文字のようなものが出ている。「虎や竜の声が、心の中にそういう模様や文字に変換され、それが絵となる」のだという。 不思議な魅力があふれた絵の数々は、見飽きることがない。 部屋のドアをあけて入ると、カードキーを入れる「カードスロット」があるが、その周囲にもかわいらしい絵が描いてある。利用客も部屋に入った瞬間、ここで笑みがこぼれるにちがいない。
「パラリンアート」とは、障がい者自立推進機構が行う、障がい者のアート作品を企業・個人に提供し、作者報酬を支払う活動である。社会参加できず、経済的にも苦しんでいる障がい者のサポートを主な目的とし、障がい者の社会参加と経済的自立を推進している。 パークホテル東京の29階、32階の回廊はギャラリーになっており、見学時間は午前11時から午後5時。これまでの「パラリンアート世界大会」の受賞作品が並ぶ「パラリンアート ミュージアム展」の常設展示が行われており、販売もしている。
その中には、1月23日に東京都内で表彰式が行われた2023年大会受賞作品も並んでいる。グランプリに輝いたスペイン人アーティスト、ポンボバルセロナさんが、鍵や傘などの身近な品々から自動車、鉄道まで様々なものを丹念に描いた「A week journey in my world」もある。 2023年のパーソル賞を受賞した田尻はじめさんの「成長の旅路」も展示されている。田尻さんは、「私たちの人生はいろいろなことが起きます。それらを乗り越えた時、人は成長し、前に進むことができます」と語っている。 ギャラリーを訪れ、障がい者の力のこもった作品を鑑賞すれば、きっと心豊かな日々を過ごせることだろう。