犬肉を食べるのは伝統文化か、動物虐待か?中国の「犬肉祭り」に行ってみた
ただ、地元政府も特に海外からの視線に敏感になっているようで、撮影中、突然私たちの前に傘を広げた男たちが立ちふさがり、撮影を妨害し続けた。雨も降っていないのに傘を広げ続ける男たちの姿は滑稽であり、周囲の人たちも奇異なものを見る目で見つめていた。 妨害の理由について問うても男たちは一切答えず、終始無言のまま。翌日私たちが玉林市を離れるまでずっと私たちの後を追いかけてきた。 犬肉を食べるのは、伝統文化かそれとも動物虐待か。中国もそのはざまで揺れ動いている。 ■取材後記 「犬肉祭り」を取材、放送した動画をYouTubeに公開したとたん、700件を超えるコメントが寄せられた。多くの人が意見を言いたくなる話題らしい。コメントを読んでみるとその多くは 「日本人もクジラやイルカを食べているし、文化は尊重すべき」 「自分は食べないけど、ほかの国の文化を否定するのはおかしい」 という冷静な意見が多いのが印象的だった。 個人的には、人間は多くの動物の命を頂き、環境や資源を破壊しながら生きていく罪深い存在だと思う。そのことに自覚的にならなくてはならないと思う。一方で食文化というのは多様で様々な価値観があり、牛はいいけど犬はダメなどの感情的な議論も違うのではないかと考えている。また、あらゆる民族の習慣は一義的には尊重されるべきだと強く思う。ただ、反対する人の気持ちも理解はできる。特に犬はペットとして人間に近いところで暮らしており「顔が見える動物」であるが故の反発や罪悪感もあると感じる。 中国で根付く犬肉文化は、人間や世界の在り方をどのように受け止めるのか、多様な価値観をどのように尊重しあうのか、深く考えさせられるテーマだと思う。 文:JNN北京支局長 立山芽以子 撮影:室谷陽太
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