好成績テックファンドがAI株に大賭け-上昇はまだ始まったばかり
(ブルームバーグ): 人工知能(AI)株の上昇局面は終了から程遠いと、今年最高クラスのパフォーマンスを上げているテクノロジーファンドの運用者はみている。
90億ドル(約1兆3600億円)規模のTロウ・プライス・サイエンス&テクノロジー・ファンドを運用するトニー・ワン氏はAIセクターについて、バブルではないとの見方を示した。同ファンドは同業他社の99%を昨年上回った。最大保有銘柄はAIブームの申し子で、今年に入り株価が80%余り上昇している米半導体メーカーのエヌビディアだ。
ワン氏はインタビューで、株価収益率(PER)は「現時点では極めて妥当だ。いずれは下降局面を迎えるだろうが、ここがピークと言うのは本当に難しく、やや早いのではないかと私はまだ考えている」と述べた。
エヌビディアのここ数四半期の好業績は、サプライヤーである台湾積体電路製造(TSMC)や米マイクロン・テクノロジーといったAI関連株が急上昇するきっかけとなった。
しかし、上昇のスピードとペースが懐疑的な見方を引き起こし、ライアン・ジェイコブ氏らファンドマネジャーがホットなテクノロジー市場に投資し、3桁の年間リターンを上げた1990年代後半のドットコムバブルの記憶を呼び覚ました。ナスダック総合株価指数は96年末から2000年3月のピークまでにほぼ4倍に上昇したが、その後80%近く下落し、02年に底を打った。
ワン氏に言わせれば、ドットコムバブルと現在の上昇局面の決定的な違いは、単なるバリュエーションの上昇ではなく、実際の企業収益による裏付けがある点だ。例えば、エヌビディアのPERは約35倍と、21年のピーク時の70倍前後から低下している。このためワン氏は懐疑的な見方を逆手に取った。
「今年に入りわれわれがAIとエヌビディアに大きく賭けたのは、誰もがAIを不安視していたからだ。だが、そうした企業は膨大なフリーキャッシュフローを持ち、資本も潤沢で、本物のビジネスを行っている」とワン氏は語った。