テスラ、人員削減の一環で米マーケティングチームを廃止-関係者
(ブルームバーグ): 米電気自動車(EV)メーカー、テスラは人員削減の一環として、米国のマーケティングチームを廃止した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が約1年前に打ち出した宣伝広告の活用を受けて結成された部署だった。この件に詳しい複数の関係者が明らかにした。
関係者によると、現在実施されている人員削減で、シニアマネジャーのアレックス・イングラム氏率いる約40人の米国「成長コンテンツ」チームが廃止された。欧州にはまだ小規模なマーケティング担当チームがあるという。
情報の部外秘を理由に匿名を条件に語った関係者によると、カリフォルニア州ホーソーンにあるテスラのデザインスタジオでも大幅な削減が行われた。
テスラとマスク氏はコメントの要請に応じなかった。
今回の人員削減は、従来型の広告活用へとかじを切ったばかりのテスラが、一転して方針を撤回することを示唆している。同社は長らく、テレビ、ラジオ、出版物、オンライン広告への出稿を避け、概ね口コミによって強力なブランドを築いてきた。だが、マスク氏が昨年、「少し広告を打ってみて、様子を見てみよう」と述べてから方針を転換。イングラム氏は約4カ月前、チームを結成し始めたばかりだった。
マスク氏、テスラの「広告」試す意向-口コミから戦略転換
背景には、世界的なEV販売の伸び鈍化や競合勢の市場参入を受けて、マーケティングに注力するよう求める声が投資家から上がっていたことがある。テスラによる広告の活用は、マスク氏がソーシャルメディアの旧ツイッター(その後Xに改名)を買収した時期ともほぼ重なる。Xはマスク氏の下で、広告収入の落ち込みに歯止めをかけるのに苦慮している。
今回の米マーケティングチーム廃止は、過去最大の人員削減が広範囲に及ぶことを浮き彫りにする。マスク氏は削減は世界の人員の10%余りに影響すると述べている。ブルームバーグはこれまで、部門によっては削減規模が20%近くになる可能性もあり、レイオフの総数が2万人を超えることもあり得ると報じている。