驚きの采配がズバズバ的中でV奪回へ…巨人・阿部慎之助監督に「名将になれる」高評価が
捕手の感性を生かして
広島3連戦に限らずシーズン終盤に入り、阿部監督の采配が次々に的中している。現役時代は洞察力に長けた捕手として定評があったが、指揮官としてもその感性が生かされている。9月8日のDeNA戦(東京ドーム)。1点差を追いかける9回。大勢をマウンドに送り無失点で抑えた。ビハインドの展開に守護神を送った起用法に、「この試合を絶対に勝つ」という強いメッセージをナインは感じ取っただろう。直後の攻撃で二死一、二塁と好機をつくると、代打起用した中山礼都が右前に運ぶ適時打。土壇場で試合を振り出しに戻すと、延長12回二死で途中出場のオコエ瑠偉がサヨナラ弾を放ち、劇的な勝利を飾った。
伝統と向き合う覚悟
今季が監督就任1年目。2年連続Bクラスに低迷し、原辰徳前監督が昨季限りで退任し、次期監督に指名された。大きな重圧に襲われたことは想像に難くない。巨人の球団創設90周年のメモリアルイヤーを記念して6月3日に発売された『ジャイアンツ90年史』(小社刊)で、「身震いしましたね、本当に。何か今まで感じたことのない重圧というか、そういうもの感じました。2年連続Bクラスだったチームを何とかするというのは、もちろん並大抵の精神力ではできないことだと分かっていたので。そうした重圧、不安には駆られていました」と振り返っている。 だが、その重圧を受け止めて伝統と向き合う覚悟はできていた。 「最後に来てしまうのは、やっぱり『勝たないと』と自分で思ってしまうので。『勝ってなんぼだな』と思ってしまう。その前に、その過程でいろいろなことがあるんですけど。やはりそこには先ほども出た『常勝』というのが、一生ついてくるのかなと思いますね。時代が移り変わって、戦力の均衡化が進んでいる中で、もしかしたら『常勝』というのは現実的ではなくなってきているのかもしれない。それでも、90年という歴史の中で、僕らが生まれる前から先人たちがチームを支え、つなげてきてくれたものがある。やはり、それはつなげていかなければならない。その使命感はあります」 4年ぶりのV奪回へ。全員野球でラストスパートを駆ける。 写真=BBM
週刊ベースボール