“高かろう悪かろう”のマンション「第三者管理方式」!“毒薬条項”で一度、契約したら最後、解約もできず泥沼化へ【マンション管理クライシス】
マンション管理会社が顧客マンションの管理の権限を手中にする「第三者管理方式」。最大の問題は、マンション管理の責任者である「管理者」ポストを営利企業である管理会社の社員が務めることだ。この弊害は決して小さくない。なお、国交省では「第三者管理者方式」という呼称について、3月末に「外部管理者方式」に修正している。(*記事内容は編集部が保証するものではありません。実際のマンションの状況に合わせて考え方を参考にしてください) 【一覧】いまマンションを「買っていい街」「ダメな街」を実名公開する
自分のマンションの“自治権”を営利企業が握る恐怖
住宅ジャーナリストが言う。 「従来の理事会方式では、理事会負担などは確かにある。また、理事会も構成メンバーによって方針が変わったり、持続性や安定性の観点からは万能とは言い難い。一方で、第三者管理では多少高くてもお任せでいいのか、というと、そんなことはありません。 この管理方式では、営利企業である管理会社が管理業務の執行権を持つ『管理者』ポストに就くことになる。管理組合予算を収益源にする管理会社にとっては経営合理性から言って、割高な費用を計上して、コストの安い会社に外注したり、時には無駄遣いをするほど自社の収益に繋がる。 おまけに第三者管理の解約は絶望的に難しい(前回記事『恐怖のマンション“乗っ取り”制度「第三者管理方式」の導入が静かに進んでいる…! 』)ので、管理会社としては気兼ねなくそう言う運営ができるのです。総会承認によるチェック機能はあるにせよ、もっともらしい理屈を作ればほぼ通ってしまう」
「高かろう悪かろう」だけは勘弁
この住宅ジャーナリストがつづける。 「つまり、第三者管理は『高かろう悪かろう』の管理になりやすいと言えます。 このような制度を、管理物件で導入を目指す管理会社は、自らの性善説を根拠にリスクには極力触れず、負担軽減のメリットだけを強調して『アンケートでは70%も賛同されている』というので、悪意以外の何ものでもありません」 現在主流の第三者管理方式は、管理組合のためというより、管理会社の方に絶大なメリットがある制度だといって間違いないだろう。管理会社はよく、民法644条の善管注意義務(「善良な管理者の注意義務」の略)を引き合いに自社の性善説を説明するが、これは、着服や横領など犯罪行為を見過ごした際に不法行為を問われるもの。顧客から利益を上げる行為自体には当然、違法性はないため、なんら抑止にはならない。 「第三者管理方式は、五輪の組織委員長を広告代理店社員が兼任するようなものなのです。五輪は検察の追及やマスコミの目がありますが、営利企業である管理会社だけで管理するブラックボックスの環境で『儲けようとするな』と期待する方に無理があります」(前出の住宅ジャーナリスト)