15日告示の大阪・堺市長選 都構想の現状と対立の構図
対立の構図
しかし、竹山氏は「堺市と大阪府の間には二重行政はなく、都構想は堺市の自治を奪う」として反対姿勢を打ち出しています。もともと竹山氏は橋下氏が大阪府知事時代の政策企画部長で、橋下氏の支援を受け前回の市長選(2009年)で当選しました。その後2010年に大阪維新の会が設立されるのですが、竹山氏は都構想に反対を表明。維新側から見れば裏切られた形になりました。 一方、竹山氏としては「前回市長選のときに都構想はまだ話としてなかった」という立場です。府と大阪市、堺市がひとまとめに都となり、新たに特別区として堺市も何区かに区割りされ、区長も公選となれば、「堺のことは堺で決められなくなる」と指摘、堺の分割を許さない構えです。
都構想に影響も
橋下氏は7月の参院選の敗北の責任から日本維新の会共同代表について辞意を表明しましたが、党幹部の慰留もあり続投しました。しかし今回の堺市長選で支援候補が敗れれば、求心力の低下は避けられません。ましてや前回の市長選で推した現職に敗れることになれば、大阪都構想そのものの見直しも迫られます。このため橋下氏は8月下旬のパーティーで「絶対負けられない」とげきを飛ばしたと伝えられています。 竹山氏はこれまでに民主の推薦を取り付け、都構想に反対する共産の同調も得ました。ただ、自民党本部は推薦より支援レベルの低い支持にとどめました。また竹山、西林両陣営から支援を求められていた公明は自主投票に回り、都構想の是非については態度を先送りにした形です。維新は参院選で敗れたとはいえ、大阪選挙区では公認候補が当選するなど地元では一定の強みを見せており、激戦が予想されています。
その他の争点は
今回の市長選では大阪都構想の議論が先行しており、地元の経済対策などは争点としてぼやけている印象ですが、地元企業や経済関係者に聞いたところ、「取材を受けるのは遠慮したい」「今回はコメントを控えたい」という声が複数で聞かれ、じっと選挙の動向を見守りたい雰囲気が強いようです。 自民などの政権与党にとって憲法改正論を模索するとき、維新の会との連携は一つの選択肢。一方、民主など野党にとっても与党側に対抗するには野党再編が大きな課題だけに、堺市長選の結果による維新の浮沈は今後の政界にも影響を与えそうです。