競輪選手からの性被害訴え、女性選手が提訴 「支配的関係があった」
競輪の男性選手から性加害を受けたとして、30代の女性選手が30日、男性選手などを相手に、慰謝料など約2100万円の損害賠償を求める訴えを神戸地裁に起こした。女性選手は記者会見で「許すことはできない。性加害で泣き寝入りしている人たちの背中を押したい」と話した。 【写真】提訴の後、記者会見で話す女性選手=30日 訴状によると、被告はほかに、一般社団法人日本競輪選手会と競技実施業務を担う公益財団法人JKA。 女性選手は、兵庫支部に所属していた2021年10月、同じ支部の男性選手(当時40代)と2人で入った居酒屋で強引にキスをされ、ホテルで性的行為を強要されたと主張。女性選手はその後、心的外傷後ストレス障害と診断され、長期間のレース欠場を余儀なくされたとしている。 背景として「所属支部内における師匠・弟子の上下関係や地元の有名・有力選手による支配的関係があった」とし、2法人に対してはハラスメント行為のない環境を整える義務を怠ったなどと主張している。 この問題を巡っては、女性選手が昨年1月に同選手会に相談。これに対し選手会側は「慎重に調査した結果、(性的行為について)同意がなかったと判断することは困難」などと回答していた。 男性選手の代理人弁護士からは「立場を利用して性交渉を強要することは不可能であり、強要した事実はない。双方合意の上だった」などと回答があったという。 今回の提訴を受け、選手会は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」、JKAは「訴状が届いていないので、コメントのしようがございません」としている。(原晟也)
朝日新聞社