典型的デブリの一部 原子力機構 大洗で分析、結果公表 茨城
日本原子力研究開発機構(原子力機構)は26日、東京電力福島第1原発2号機から試験的に取り出した溶融核燃料(デブリ)の分析結果を発表した。表面にウランなど核燃料に由来する物質があり、内部に空洞があることを確認。原子力機構は「典型的なデブリの一部が取得できた」と評価した。 X線CTや電子顕微鏡などを用いた「非破壊分析」の結果で、デブリの大きさは約7ミリ×約9ミリ。1~2センチの距離で測定した表面の放射線量は毎時約8ミリシーベルトだった。密度は不均一で、内部に空洞が広く分散していた。 表面からはウランをはじめ、原子炉の構造材料である鉄やニッケル、核燃料を覆う管の材料となるジルコニウムを検出。測定されたガンマ線により、ウランが核分裂した際に生じるアメリシウムやユーロピウムも確認した。 原子力機構大洗原子力工学研究所(茨城県大洗町)燃料材料開発部の前田宏治部長は「想定して作った摸擬デブリと非常に酷似している」と強調。「良い試料が取れた」として、今後の内部観察で「核燃料と構造材料が反応した生成物が確認できるのではないか」と期待感を示した。 原子力機構は年明けにもデブリを切断・研磨した上で、電子顕微鏡で観察する「固体分析」を始める方針。約半年間をかけ、成分や結晶構造を調べ、事故時の炉内温度や冷却状況を推定する。 固体分析について、原子力機構は物質の結晶構造などを分子レベルで調べることができる大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)でも行うと発表。このほか原子力機構原子力科学研究所(茨城県東海村)とMHI原子力研究開発(同)でも分析する予定だ。 東電は11月7日、福島第1原発2号機から事故後初めてデブリを取り出し、同12日に大洗町にある原子力機構大洗原子力工学研究所に搬出、分析が進められていた。福島第1原発1~3号機には推計約880トンのデブリがあるとされ、全容は分かっていない。
茨城新聞社