結成40周年PERSONZボーカルJILLさんがたどり着いた境地とは?
6月に結成40周年のロックバンド「PERSONZ」の活動が活発化している。1月から新曲を毎月配信し、全国9都市を巡るツアーでは、7月に福岡市中央区地行浜の「Zepp Fukuoka」でライブも行う。ボーカルJILLさん(64)は「バンドの状態は今が一番」と強調する。 -バンドは1984年にJILLさん、ギターの本田毅さん、ベースの渡邉貢さん、ドラムの藤田勉さんの4人で結成されました。 ★JILL 92~2002年に本田さんが一時脱退した以外は、オリジナルメンバーでずっと活動してきました。ここまでたどり着けたのは驚きです。還暦を過ぎて、これから先が、あるのかないのかドキドキして、『周年』が年ごとに重くなっている気がします。 -40年の間に、音楽に接する手段はレコードからCD、そして配信へ。ジャンルも急速に多様化しました。 ★JILL 変革期を生き抜いてきただけに、あまり焦りもしていないし、身じろぎもしません。手持ちのスマートフォンで手軽に音楽を楽しめる時代で、私たちも便利で使っている。 ただ、ライブで表現するということは「生」なので、そこは何も変わっていない。ライブを見に来たら(音源と)ぜんぜん違うというのは、私たちにとってはダメなんです。今は4人とも何となく健康状態も良いし、年とともに自分を整えるものを培ってきている。乱れた生活をしていたら40年もできないですから。 -長く続けるために、JILLさん自身がしたことは。 ★JILL 40代後半になって初めてボイストレーニングを受けました。3日間連続のライブで声がかれたとき、藤田さんに「3日間、難しいの?」と言われたことがきっかけだったんです。 瞬間的に「むっ」としたんですが、「仕方ないで終わらせるわけにいかないな」と思い直しました。声を出すことが自由にできれば体も疲れない。3日間連続ライブも平気だし、最近は声もかれません。 -若いときは若いときの良さもあったんでしょうね。 ★JILL がむしゃらに、1日で力を使い果たしていた若い頃の勢いもまた良かったけど、熟練した3人の演奏とか、経験を重ねたからこそ鳴らすことのできる4人だけの音があるんです。 -40周年記念第1弾として配信した曲「FLOWER OF LOVE」は「咲かせよう 今この時開く蕾(つぼみ)は 愛になり 涙になり 輝く星になる」と歌っています。 ★JILL これまでの日々を花にたとえて、新しい命の息吹みたいなものを言葉にちりばめたかった。楽曲の最後には、昨年6月に生まれた孫の笑い声も収録しています。 「FLOWER OF LOVE」っていうのは、命のサイクルみたいなもの。人の人生は燃え尽きる時が来るけど、つながっていくんだなっていうのを、すごく確信しました。これは若い時には、あまりなかった感情ですね。 -2月28日に配信第2弾の「Dear you」を発表。今後も毎月1曲ずつ配信し5月に8年ぶりのフルアルバムを出します。 ★JILL ミニアルバムの予定だったんですが、バンドの意欲の高まりとともに楽曲数も増えました。新たな代表作にしたいと思っています。 -40周年記念ツアーは結成日の6月21日に名古屋市から始まり、福岡は7月5日に開催。ツアー前にも九州では4月20日に佐賀市柳町の「浪漫座」でもライブを行います。 ★JILL ツアーなどで何度も訪れるうち、九州にも知人がたくさん増えました。そういう温かみのようなものを感じられるライブになるかもしれませんね。 (文と写真・古川泰裕) ◇JILL◇ 1960年、東京都生まれ。87年に「PERSONZ」ボーカルとしてメジャーデビュー。年齢を感じさせないパワフルな歌声が特長で、バンドも明るく前向きな曲調が多い。バンドの代表曲は「DEAR FRIENDS」「Fallin’Angel~嘆きの天使~」など。