Sou、“好き”を詰め込み心の内側見せたワンマンライブ『inside』 東京公演をレポート
アンコールでは盟友・Eveの「ナンセンス文学」もカバー披露
リスナーからの支持も厚い「妄想感傷代償連盟」と「少女A」を披露する前、思い出を振り返るようなピアノのサウンドをBGMにSouが語ったMCは、特に彼のキャラクターが引き立っていた。Souには、真面目に話のなかにユーモラスなトーンを織り交ぜ、会話の節々で笑わせてくれるところがある。 「これエモいMCです、覚悟して聞いていてください(笑)……人前に出るのは本当に苦手で、ヤバイくらい裏でも緊張してばかりなんです。でも、やっぱりみんなが『ライブをやってほしい』って言ってくれたり、駆けつけてきてくれるから、逆に僕がみんなから元気をもらっている。本当にありがとうございます」。その言葉にはSouらしさが炸裂していて、心が自然とあたたまった。 「まだまだ行けますか?」と会場に問いかけ、盟友・Eveの「ナンセンス文学」からスタートしたアンコール。深遠な意味を持った「炉心融解」や『ボカデュオ2023 -VocaDuo_2023-』参加曲の「バブル」が続く。これらの曲は、Souの内なる感情を特別に表現しているかのようでもあった。 この日を締めくくったオリジナル曲「ノイド」では、Souのボカロの世界を巡る旅が、ひとつの物語として結実した瞬間を描いた。これまで築き上げてきた多彩な音楽センスとアーティストとしての成熟の両方が浮かび上がった感動的なハイライトだった。「また会いましょう!」と客席に手を振りながらステージをあとにしたSou。特別に私的な‟好き”で埋め尽くされたこの日のSouは、いつも以上に生き生きとした表情で輝いていた。
小町碧音