潰れる大学・生き残る大学…私立大では早稲田が圧倒的に優れていると言える「納得の理由」
魅力のない大学は潰れていく
最近、日本でも恵泉女学園大学の閉校が話題になったが、2000年以降に我が国で営業停止となった私立大学の数は、16。週に一つ無くなっている米国とは比較にならないが、少子化が進み、私立大学の53パーセントが定員割れしている。今後、消え行く大学が増すことは容易に想像できる。 筆者自身、2024年3月末日まで、関西の某大学で4年間、客員教授を務めていた。この4月より新学部が増設されたが、100名の定員に対し、入学者は僅か6名。それも、全員が外国籍で日本語が話せない学生であった。同族経営で、コンサルタント会社に運営を丸投げしており、とても安心して働ける環境ではなかったため、去ることを決めた。こうした危うい学び舎もある。 私大の半数以上が定員割れしているのだから、今日、誰もが大学生になれる。それでも、特性や魅力が無ければ、学生は集まらない。我が国も米国の後を追うことになるであろう。今回、『大学通信』で情報調査・編集部部長を務める井沢秀氏をインタビューした。 「早稲田、慶応、上智、GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政の略)は大丈夫ですが、日東駒専(日本、東洋、駒澤、専修の略)など準難関より下は、かなり厳しいものという業況は変わっていないと思います。早慶上智、GMARCH、関関同立(関西学院、関西、同志社、立命館の略)までの、所謂私立TOPグループの塊は、志願者が増えています。 ただ、早稲田だけは大幅減なんです。適正な志願者数に戻っているようですね。2021年に早稲田は入試改革をしました。この年に共通テストの利用が始まりましたが、文科省が学力三要素――知識、技能に加えて思考力、判断力、それを活用する能力を、しっかり見なさい、という指針で大学入試改革を進めたんですね。 それと並行するように早稲田の政経、国際教養、スポーツ科の3学部で共通テストと――国立型の――大学独自の思考力・記述試験で、東大・京大型の試験を導入しました。 その結果、早稲田は、1970年代中盤より続いていた10万人の志願者を割ることになった訳です。受験生が、早稲田は難しいと感じたからですよ。結局、政経は数1を必須とし、英、国、社で受けやすかったパターンが通じなくなってしまったんです。しかしながら、早稲田は志願者が減ったことを問題としていないそうです。早稲田当局が明言していますよ。数1を必須としたこともあり、政経は学科によっては志願倍率が3倍を切っているところもあったかな。 3学部以外にも拡充していって、国立型の勉強をしてきた受験生が有利になりつつあります。今や、学校側が受験生を選ぶんです。早稲田は元々思考力の高い学生を求めていましたが、これまで以上に、東大、一橋など難関国立大の志望者がほしいということじゃないでしょうか」 後編『大学がどんどん減少しているなか…「秋田の公立大」に注目が集まっている「納得の理由」』では、昨今注目を浴びている大学について話を聞いた。
林 壮一(ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属)