ロシア新内閣、「軍需経済」を推進 制裁に対抗、対ウクライナ戦勝狙う
ロシアのプーチン大統領の新任期入りに伴って発足する新内閣の陣容が固まった。国防相に起用されるベロウソフ第1副首相は経済戦略の専門家として知られる。ウクライナ侵略を続けるロシアは、「軍需経済」を推し進めることで欧米主導の経済制裁に対抗し、軍事作戦で戦勝を得ようとする構えを鮮明にした。 【写真】国防相に起用されるベロウソフ第1副首相 ペスコフ露大統領報道官は12日、ベロウソフ氏の国防相起用について「力のブロック(国防関連)の経済を国家経済に統合させる」ことが狙いだと説明。国防相から国家安全保障会議書記に転じるショイグ氏が軍需産業を監督するとも明らかにした。 ウクライナ侵略で制裁下に置かれたロシアは軍需生産を拡大し、景気の失速や失業率の悪化を防いできた。新内閣では、マントゥロフ副首相兼産業貿易相が第1副首相に昇格し、軍需生産を含む産業振興を指揮する。新内閣の陣容からは軍事中心の経済をさらに強化する意図が透けてみえる。 ショイグ氏を巡っては4月下旬に側近のイワノフ国防次官(当時)が収賄容疑で露捜査当局に拘束され、処遇に注目が集まった。しかし結果として、国防・治安系省庁に君臨する国家安全保障会議書記に昇格。昨年、ウクライナ軍の反攻作戦を撃退したほか、露民間軍事会社「ワグネル」の武装反乱を鎮圧したことなどがプーチン氏に評価されたとの観測が強い。 ペスコフ氏によると、ウクライナ侵略で露軍総司令官を務めるゲラシモフ参謀総長の交代は予定されていない。兵員や武器不足が進むウクライナに対して戦場で優位に立つロシアは新内閣で軍需生産を増強し、さらに優勢を拡大する思惑だ。