<春に挑む・’22センバツ大分舞鶴>応援編/下 外部トレーナー 牧野宏さん(58) 体幹鍛え投打に安定感 /大分
「素早い動きを意識して。速く。速く」 2月上旬、大分市の大分舞鶴のグラウンドで、外部トレーナー、牧野宏さん(58)の声が響いた。週に1回、選手の体幹トレーニングなどを担当し、体の使い方を教える。 三重町(現・豊後大野市)出身。1986年に県立高校の体育教員となり、大分上野丘高や別府鶴見丘高などでラグビー部の指導をした。河室聖司監督は両校の同僚で年齢も一つしか違わず、公立校で限られた時間に指導することについて意気投合した。 牧野さんはスポーツ指導をする中でけがをして競技を断念する生徒の姿を目にしてきた。そういった生徒たちを少しでも減らそうと、2019年に早期退職してスポーツトレーナーの研修を受けていた。 一方の河室監督は、09年に県高野連理事長になり、強豪校と渡り合うには、選手の基礎体力の強化が必要と感じていた。20年8月に大分舞鶴の監督に就任すると、「一緒に甲子園に行こう」と協力を呼びかけ、牧野さんは21年2月から大分舞鶴でトレーナーを務めることになった。 指導は1回30分で、けがをしない体作りをするために選手一人一人の体の状態を調べて、悪いところは改善できるようアドバイスした。体の疲労を軽くするためのストレッチも教えた。部員たちの腰回りは次第に太くなって安定感を増した。 エースの奥本翼投手(3年)は、姿勢の改善や足腰を鍛えるトレーニングの結果、肩の可動域が広がり、伸びのある投球ができるようになった。安定感も増した。甲斐京司朗主将(同)は「下半身にためができるようになり、変化球や速球にも柔軟に対応できるようになった」と話した。 牧野さんは自分を信じて1年間ついてきた選手の姿を見て「一冬超えて体力はアップしたと思う。初戦の相手は甲子園の常連校だが、自分たちの野球を見失うことなく大胆に戦ってほしい」と目を細めた。【辻本知大】