移民・難民を武器として使うロシアやベラルーシの戦略
二松学舎大学国際政治経済学部・准教授の合六強が3月1日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。前年比で18%増加した2023年のEUの難民申請について解説した。
EUの2023年の難民申請、前年比18%増加の114万人
欧州連合(EU)は2月28日、加盟国とスイス、ノルウェーで2023年の難民申請が前年比18%増の約114万人だったと発表した。シリア情勢の悪化で100万人を超えた2015~2016年の難民危機以降、最大の数となった。
シリアやアフガニスタンからの難民が多いエストニア
飯田)(EUは)ウクライナからの難民を受け入れている国も多いことなどが挙げられていますが、エストニアでもそうでしたか? 合六)エストニアにも多くのウクライナ難民がいて、例えばホテル清掃の仕事などにウクライナ人が多く従事していますね。受け入れ国や地域では、「潜在的なトラブルが起こらないかどうか」が重要です。エストニアのなかでもロシア語を話すロシア系住民が多い地域は、ウクライナ難民が組織的に住むとなると地域で問題が起こりかねないため、政府としてはそういう地域に送らず、首都や第2都市で避難民の生活を支えているという話を聞きました。今回、難民申請が増えたのは、ウクライナ難民というよりも、件数別では中東紛争の影響でシリアからの申請が多くなっているのです。 飯田)シリアからの難民申請が。 合六)2番目は、数は減っていますがアフガニスタンからです。ヨーロッパだけではなく、その周辺やアフガンなどがまだ不安定であると示している内容だと思います。
移民・難民が増えると右派ポピュリズムが伸びる
合六)受け入れ側の問題としては、こういう人たちを「追い出せ」というような、右派的なポピュリストが台頭しているのです。2015年の難民危機でも同じような状況がありました。今年(2024年)は「欧州議会選挙」が開かれますし、EU加盟国のいくつかでは全国レベルの選挙も行われます。この間、右派ポピュリズムが伸び悩んでいたのですが、また伸びるかも知れません。 飯田)右派ポピュリズムが。 合六)そういうところはロシアとの関係を重視し、ウクライナ支援に対しても消極的ですので、回り回ってウクライナへの対応にも大きく影響する可能性はあると思います。