タペストリー、買収したカプリ傘下の「ヴェルサーチェ」と「ジミー チュウ」売却も視野に? 市場関係者が憶測
年商120億ドル(約1兆7760億円)の巨大ファッション企業が誕生すると目されているタペストリー(TAPESTRY)によるカプリ・ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)の買収だが、取引の完了後、タペストリーがカプリ傘下の「ヴェルサーチェ(VERSACE)」と「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」を売却するのではないかとのうわさがアナリストなど一部の市場関係者の間で流れている。 【画像】タペストリー、買収したカプリ傘下の「ヴェルサーチェ」と「ジミー チュウ」売却も視野に? 市場関係者が憶測
「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」を傘下に持つタペストリーは2023年8月10日、「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」「ヴェルサーチェ」「ジミー チュウ」を擁するカプリを85億ドル(約1兆2580億円)で買収した。その際、購入資金を調達するため、タペストリーは75億ドル(約1兆1100億円)のデットファイナンス(借り入れもしくは社債発行による資金調達)を行っている。この返済のため、ブランド売却を検討するのではないかという憶測だ。
タペストリーがカプリを買収するメリットとしては、レザーグッズに強い前者とウエアに強い後者という補完性の高さに加えて、タペストリーのラグジュアリーセクターへの進出という点が挙げられる。しかし、金融大手ウェルズ ファーゴ(WELLS FARGO)のアイク・ボルーチョウ(Ike Boruchow)=アナリストは、「『マイケル・コース』の北米における卸は以前として厳しい状態にあり、業績は芳しくない。『ヴェルサーチェ』と『ジミー チュウ』は、ラグジュアリー市場の減速の影響で売り上げが落ちている。一方、『コーチ』は一時期の人気ぶりは落ち着いたものの、業績は堅調だ」と分析。タペストリーは、値下げや割引の繰り返しによってブランド価値が下がっていた「コーチ」を立て直した実績があるため、デジタル化や定価販売を推進することで「マイケル・コース」も同様に再建し、“手の届くラグジュアリー”というポジショニングを強化する戦略も検討しているのではないかという。