「変化が訪れたときが暮らしを整えるとき」60代・住宅設計者がたどりついた、片付け&収納の極意
一級建築士として活躍している田中ナオミさん(61歳)。夫とふたりで暮らす、家事効率を考えた住まいや「毎日忙しいけれど楽しい」と話すライフスタイルが注目を集めています。ここでは、田中さんが片付けをするときに心がけていることや、使いやすい収納のマイルールについて紹介します。 【写真】60代夫婦ふたり暮らしのキッチン収納
とにかく端から着手すれば必ず終わりは来る
たくさんの持ちものを横目に、先送りにしがちな片付け。だからこそ、思い立ったらすぐ着手。端から順番に選別していけば、必ず終わりはやって来ます。 ポイントはひと部屋ずつ、1か所ずつ確実に終わらせて次に進むこと。中途半端に手をつけると逆に散らかるので注意。家族の節目を狙って行いましょう。 ・季節のものを入れ替えるとき、大掃除 ・子どもが巣立つとき、自身がリタイアしたとき ・引っ越しするとき、リノベーションをするとき etc. 変化が訪れたときが暮らしやすく整えるとき。チャンスを逃さず行動です。
●自分にしかわからない宝物はじっくり選別
シニア世代の捨てられないものの多くが「思い出」。思い出の品こそ他人では判断できないので自分でじっくり選別します。そうして残ったものは宝物。 私は母の手編みのブランケットや徳島にいた子どもの頃からずっと一緒のくまです。 写真も自分しかわからない思い出です。私も時間を見つけては見返して数を減らしています。データ化するのもおすすめですが、プリントならではのよさもあるのでよき選択を。
ものは使う場所に収納するのが鉄則
食器はキッチン、バスタオルは脱衣室、洋服は寝室…。収納の極意は「適材適所」です。使いたいものを使いたい場所に置くことは、当たり前のようでじつはあまりできていないことにお気づきですか? たとえば、入浴時に必要なアイテム。パジャマは寝室、下着はクローゼット、タオルは脱衣室に収納していると、入浴前に寝室とクローゼットに立ち寄ってから脱衣室に行くことになり、洗濯後は寝室とクローゼット、浴室、それぞれに片付けに行かなければなりません。 いちばんスムーズなのは、パジャマ、下着などの入浴後の着替え一式とバスタオルを脱衣室にまとめること。1か所に収納しておけば、入浴前の準備と洗濯後の片付けが一度に済んで、無駄な動きをなくせます。 また、よくあるのがリビングに設置された食器棚。 おしゃれな食器棚がリビングにあるのはすてきですが、使うとき、片付けるときにその都度リビングまで往復しなければならないので、キッチンに出しっ放しになりがちです。そうすると食器棚のものは使わない、ってことにもなりかねません。数歩の差でも家事の流れが断ちきられると面倒に感じるので、普段使いの食器はキッチンに置くのがベターです。 収納スペースにもよりますが、ものは使う場所(空間)で出し入れが完結するのが理想です。とくに毎日使うものは定位置を決め、家族で共有するのが必須。掃除道具は、トイレなどの専用の道具は使う場所に備え、掃除機など複数の部屋で使うものは、掃除の動線上に収納を設けると便利です。 わが家は本を3か所に分けて収納しています。仕事関係のものはアトリエに設置した壁一面の本棚に。書籍は読み終わったら保存するものだけに絞り、廊下の納戸へ。美術館などで購入したお気に入りのアートブックはリビングの戸棚が定位置です。 まずはなにがどこに収納されているとスムーズに出し入れできるのか、見直してみましょう。使いたいものが使いたい場所にあると、ものも生かせます。
ESSEonline編集部