「日本の豊かな魚食文化を伝えたい!」女性の視点で、父から継いだ水産会社をイノベーション ~安岐水産 後編
地元・瀬戸内海の海産物加工や、海外の豊富な水産資源を日本の食卓に届ける水産加工会社「安岐水産」(香川県さぬき市)。創業者・安岐豊氏の娘・麗子氏は、インドネシアで事業を始める夢を持っていましたが、家族と社員の将来を考え、3代目社長に就任を決めました。「女性ならではの視点でイノベーションを」と語る安岐麗子氏に、魚食文化を未来につなぐ取り組みなどを聞きました。 【動画】受け継がれる絶品明太子
◆父は真面目に水産加工、じゃあ私は?
安岐氏が安岐水産を引き継いでまず考えたこと。それは「私らしい経営ってどんな経営だろう」でした。 「父は本当に、真面目に水産加工をやってきたと思うんです。 『いいものを作っていれば、お客さんがまたお客さんを呼んできてくれるので、営業しなくても買ってくれるんだ』って、父が言ってたんですけど」。 もちろん、父は努力していた。しかし、自分が引き継ぐことで、女性ならではの視点でイノベーションできると、安岐氏は考えました。 先代と安岐氏が築いてきたインドネシアとのつながりも生きており、貿易だけでなく、インドネシアの実習生受け入れや、他会社への人材派遣も進めています。 「人と何かをできるっていうことが、やっぱりすごく嬉しいし、仕事の内容はまあ何でもやっていけるのかなと思うんですよね」と、安岐氏は柔軟に幅広くチャレンジする姿勢を見せています。
◆魚はこれからも値上がりする、だから付加価値を
安岐水産は、工場で加工した商品の業者向け販売が中心の会社。 消費者と直接触れ合ったり、声を聞いたりすることが少ない一方通行な点を変えていきたいと安岐氏は語ります。 「これからの経営課題として、魚が少なくなっているということがあります。海外からの調達力も日本は弱くなっていますから、魚価はこれからも上がり続けます。 だから、水産加工業は多分どこも厳しいと思うんです。 やっぱり、付加価値をどれだけつけていく力を持てるかというところが、会社存続のポイントだと思っています」。 たとえば、直接お客さんと触れ合える双方向コミュニケーションの場として、「お魚生活すすめ隊」という活動を実施しています。 魚の食べ方や味を広く伝え、魚を身近に感じてもらうことで、魚食文化をつないでいこうという取り組みです。 「うちは女性がすごく元気な会社なので、女性たちが中心になって、どうやったらお魚をもっと食べてもらえるだろうとか、いろいろ考えています。 お魚の捌き方教室や料理教室とか。 自分たちの人生に、自分たちで意味をつけて活動ができて、やっていることが世の中のためになったら、みんな多分嬉しいじゃないですか。そういうことを目指してやっている感じです」。