クヌッセン機関長の故郷でライブ 和歌山県紀の川市・円香さん
67年前、和歌山県美浜町の日の岬沖で炎上していた日本の船を見た、デンマークのクヌッセン機関長が海に飛び込み、船員を助けようとした実話を、慰霊碑のある美浜町から機関長のふるさとデンマークの人たちに伝えようと、紀の川市のシンガーソングライターの女性が5月、デンマークを訪れ、歌と映像を披露します。 紀の川市に住むシンガーソングライターの円香さん26歳は、デンマークと日本の国交樹立150年を記念した企画で、デンマークの音楽プロデューサー、イェンス・オーレさんの招きを受け、7年前の2017年、「和歌山県の若手アーティスト」として初めてデンマークを訪れ、現地のアーティストとともに作曲活動を行いました。 今回は、和歌山県の国際交流助成事業として、再びオーレさんの企画、5月21日から10日間程度、クヌッセン機関長のふるさと、デンマークのフレゼリクスハウンを訪れます。 そして、現地の人たちに、円香さんが高校時代に過ごした和歌山県紀美野町の真国という地域を歌った「真国-Makuni-」などオリジナル曲3曲と、竹田の子守唄などのカバー曲5曲を、およそ1時間の単独ライブで披露するとともに、写真家の父・堀田賢治さんが撮影し編集した、クヌッセン機関長が和歌山県内でどのように語り継がれているかを伝えるおよそ30分の動画を上映します。 この動画を制作するにあたり、円香さんは、毎年2月に美浜町で開かれているクヌッセン機関長を慰霊する献花の集いを取材するなど、関係者の声を聴いてきました。円香さんは、「地元の幼稚園の先生が自主的に紙芝居を作ったり、クヌッセン機関長が所属したデンマークの大手海運会社の幹部が訪れ、『海に関わる仕事をしている者として心から彼を尊敬している』と話すなど、心から彼に感謝し、遺徳を感じているのがひしひしと伝わってきた」と話しました。 デンマークでの公演を前に、円香さんは、「現地に行って、クヌッセン機関長ゆかりの人にどれだけ会えるかわかりませんが、機関長の魂は、観に来てくれると思う。ライブでは、純粋に感謝の気持ちを表し、これだけ多くの人が、あなたの遺徳に感謝して後世に伝え続けていることを墓前でも伝えたい。いろんな人の話を聞いたので、それを背負って代表して歌える立場であることを自覚し、ステージに立ちたい」と意気込みを語りました。 また、帰国後は、「和歌山県内の人たちに、デンマークでのライブの様子や、動画を見たデンマークの人たちの感想のほか、クヌッセン機関長が現地でどのように語り継がれているかなどをできれば動画にまとめて紹介し、ライブもできれば」と語っています。