老後生活の家計管理「バランスシートの活用」がお勧めのワケ【FPが解説】
定年退職して年金生活にシフトすると、収入は大きく減少します。老後も豊かな毎日を送りたいなら、比較的早い段階から、具体的な収入と支出を確認し、対策を立てることが重要です。具体的な方法を見ていきましょう。※本連載は、頼藤太希氏監修のMOOK『定年後のお金の不安がなくなる本』(晋遊舎)より一部を抜粋・再編集したものです。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
家計管理で「使える資産額」を確認!
定年退職後は、現役時代と比較して毎月手元に入るお金が大幅に減少してしまうという人がほとんど。そのため、老後は月々の収支をしっかりと管理することがより重要になるのだ。定年後に苦労しないためにも、今のうちから将来の家計について考えておこう。 ◆バランスシートを使って使える資産額を確認 定年後は、ほとんどの人が現役時代よりも少ない収入で月々の生活をやりくりしていくこととなる。浪費癖を持つ人が、家計管理をせずに現役時代と同じ感覚で過ごしていると、気づいたら資産がなくなってしまい、生活に苦労することも考えられるだろう。そうならないためにも、家計管理をして、自分や家族が自由に使える資産額を確認しておくことが重要となる。 家計管理では、バランスシートの活用をおすすめしたい。シートには「資産」「負債」を分けて記入。それぞれの合計額から「純資産」の金額を計算できる。純資産は資産全体の50%以上になることが理想的とされるので、まずはそこを目指して支出入の調整を進めてみよう。 家計が債務超過状態になっていたり、純資産が年を追うごとに目減りしていく状態になっていたりするのであれば、月々の収支を見直して家計の改善が必要となる。 ◆資産と負債それぞれの金額を正しく把握しておこう 家計とは、各家庭における収入と支出の状況を指す言葉だ。家計管理では「資産」と「負債」が重要な意味を持つ。資産は、現金や銀行預金といったお金そのもののほかに、住宅、自動車、貴金属、株式など、売却することによってお金を得られる所有物も含む。一方の負債は、ローンや奨学金、借金といった先々支払わなければならないお金を指す。 家計管理をする際には、現在所有している資産と今後出て行くことが確実な負債の両方の額を正しく把握しておかなければ、実際の収支と違いが発生してしまうので注意が必要だ。 資産:お金、もしくはお金に交換可能なもの 現金、預金、貯蓄型保険、株、投資信託、債券、持ち家、自動車、貴金属、金(ゴールド)など 負債:今後支払う必要があるお金 住宅ローン、自動車ローン、カードローン、教育ローンなど ◆バランスシートを活用すれば純資産を計算しやすくなる 家計管理で役立つツールにバランスシートがある。バランスシートは「資産」「負債」「純資産」の3つの金額を調べて、家計の状況を確認するために用いる資料だ。純資産は、資産の総額から負債の合計額を引くことで求められる。 純資産の金額は資産全体の50%以上になることを目指したい。資産よりも負債の額が大きい場合は、債務超過状態となるため、家計の見直しが必要となる。