センバツ2024 大阪桐蔭、夏につなぐ涙 雨中、観客から温かい拍手 /大阪
兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催されている第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)第9日の28日、大阪桐蔭は準々決勝で報徳学園(兵庫)と対戦。相手先発を攻略できず、1―4で敗れ、3年連続の4強進出はかなわなかった。雨の中、最後まで諦めなかった選手らに一塁側スタンドから、温かい拍手が送られた。【小坂春乃、野原寛史、中田博維】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 試合開始直前、細かい雨が降り出した。約140人でアルプススタンドへ応援に駆けつけた吹奏楽部員も、楽器にビニールをかぶせてプレーボールを待つ。部長の土井花憧(はるあ)さんは「雨に負けず、いつもと変わらないエールを届けたい」と意気込んだ。 昨秋の近畿地区大会準々決勝で競り勝った相手に対し、先発はエース・平嶋桂知(かいち)(3年)。しかし一回、制球が乱れるなどで無死満塁とし、先制を許した。父浩一さん(47)は「ここから自分の投球を取り戻して」と祈った。二回以降はいずれも打者3人で切り抜け、五回からは南陽人(はると)(3年)にマウンドを託した。 「桐蔭ファイト」「頑張れ」の大合唱に押されるようにして八回、境亮陽(りょうや)(同)が右越え三塁打で出塁。「前の打席から直球を狙っていた」という吉田翔輝(同)の左前打で1点を返した。吉田の父昌章さん(54)は「やってくれると思っていた。どうにか逆転を」とメガホンを打ち鳴らす。 ところがその裏代わった中野大虎(だいと)(2年)が2点を奪われた。そして九回、3番・徳丸快晴(3年)からの好打順に期待するも、逆転を信じるスタンドの願いは届かなかった。「春の日本一」を目指す戦いが幕を閉じた。 この日無安打の主砲・ラマル・ギービン・ラタナヤケ(同)は「失点を打者陣で取り返せず悔しい」と唇をかんだ。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇秋から成長、初の夢舞台 平嶋桂知投手 3年 「ベスト8からが本当の戦いだ」との西谷浩一監督の言葉に「負けられない。チームを勢いづける投球を」と覚悟を決めた。前回のセンバツ準決勝で敗れた相手を前に、チームはいい緊張感に包まれていた。 普段は柔和な笑みをたたえるが「任された分をしっかり抑えよう」と引き締まった表情でマウンドに上がった。ところが一回、なかなかストライクが入らない。「少し冷静になれなかった。力で行きすぎた」。無死満塁から先制された。 その後は気持ちを切り替え、変化球を交ぜながら二回以降は1安打を許したのみ。準決勝で再び投げられると仲間を信じ、4回2失点で降板した。 初めての甲子園。「しっかり悪いところに気付いて修正できたのは秋からの成長。僕が投げれば勝てると信頼してもらえる投手になりたい」。一回り成長した姿で、必ずこの舞台に戻ってくる。【小坂春乃】