最も成功したジャンプ漫画の実写化は? ベスト映画(4)“バトル”に胸が熱くなる…神がかった面白さの理由は?
1969年の創刊以来、長年にわたって子どもたちに夢を与え続けてきた『週刊少年ジャンプ』。60年以上の歴史の中には、アニメ化や実写化がされた人気作品も多々ある。そこで今回は、同雑誌に連載された漫画を実写化した作品を5本紹介。驚異の再現度の秘密を徹底解説する。第4回。(文:編集部)
『バクマン。』(2015)
監督:大根仁 原作:大場つぐみ 小畑健 脚本:大根仁 キャスト:佐藤健、神木隆之介、染谷将太、小松菜奈、桐谷健太、新井浩文、皆川猿時、宮藤官九郎、山田孝之、リリー・フランキー 【作品情報】 高校生の真城最高(佐藤健)は、絵の才能に恵まれながらも、特段夢も持たず、冴えない学生生活を送っていた。 そんなある日、真城は、同じクラスの秀才・高木秋人(神木隆之介)から漫画家になろうと誘われる。 漫画家の叔父を過労で亡くした過去を持つ最高は一旦高木の誘いを拒否するが、声優志望の想い人、亜豆美保(小松菜奈)との約束をきっかけに、漫画家の夢を決意する。 【注目ポイント】 「少年2人がタッグを組み、漫画家を目指す」という異例の内容ながら、全20巻で累計発行部数1,500万部という大ヒットを記録した漫画『バクマン。』。本作は、そんな「平成の『まんが道』」を原作とした青春映画だ。 監督は、『地面師たち』(Netflix、2024)や『モテキ』で知られる大根仁。キャストには、真城最高(作画担当)役の佐藤健、高木秋人(原作担当)役の神木隆之介のほか、小松菜奈、染谷将太、山田孝之と、日本を代表する役者陣が名を連ねている。 本作最大の見どころは、なんといっても佐藤&神木の黄金コンビだろう。2014年の映画『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』では、緋村剣心と瀬田宗次郎として刀を交えた2人。本作では、剣をペンに持ち替え、息の合ったコンビネーションを披露している。 特に印象的なのは、壁にぶつかった2人が、染谷将太演じる天才漫画家・新妻エイジに勝つために、策を練るシーンだろう。 「エイジが王道なら、天才じゃない俺たちは邪道で勝負するんだ。それが俺たちの博打だろ」 頭をひねる真城にこう語りかける高木の姿は、「努力・友情・勝利」を標榜する『週刊少年ジャンプ』らしく、多くの観客の胸を熱くさせるはずだ。 そして、本作を語る上で欠かせないのが、プロジェクションマッピングを駆使した2人の共作シーンだろう。 監督の大根曰く、「やっていることは地味だけどすごいことになっている」漫画家の頭の中を表現したかった、というこのシーン、2人が黙々と机に向かう中、漫画のコマが次々と部屋中に投影されていく描写は、サカナクションの楽曲も相まって不思議な疾走感にあふれている。 そしてもう一つ、忘れてはならないシーンがある。それが、終盤の「脳内バトル」シーンだ。このシーンでは、めくるめく漫画のコマをバックに、巨大なペンを手にした真城と高木が宿敵である新妻エイジと熾烈な戦いを繰り広げる。 めくるめく漫画のコマの中で、ペンを手にエイジと戦う2人。その姿は、どんなバトル漫画の主人公よりも輝いてみえるはずだ。 (文:編集部)
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