なぜ阪神のゴメスは“ダメ助っ人”でなかったか
マートンメモの存在
元阪神のチーフスコアラーで、現在は、岡山商科大で野球を教えている三宅博さんは、配球の読みに工夫が見られるという。 「ファーストストライクを打っていくという積極打法ではあるが、ごくたまに、外の誘い球を見向きもせずに見送る打席がある。おそらく“読み”を持って打席に入っているんだろう。そういう見送り方をされると、相手バッテリーは、考えさせられることになるからね。マートンが、配球メモをつけていると聞くが、そのマートンメモが、役立っているのではないか。ドミニカの選手特有の間合いが、バッティングにあるのもいい。30本は無理かもしれないが、チャンスで、あれだけの打点を挙げていれば合格だと思う」 得点圏打率は.432と勝負強い。21試合で24三振で1試合にひとつのペースで三振はしているが、四球も10個拾うなど、まだ、モロさは露呈していない。日本球界で成功したオマリーが打撃コーチに就任したことと、マートンがゴメスの面倒を何かと見ていることも、ゴメスの日本野球への対応力をポジティブにしているようだ。実際、マートンメモが、ゴメスの配球の読みにもつながっている。ゴメスは、昨季を除き、毎年、ドミニカリーグに参戦しているが、ドミニカの野球は、実は、変化球が全盛。外の変化球への揺さぶりに対してゴメスにも、本来、抵抗力が備わっている。 「まだ、これで大丈夫というところまでにはない。たまたま数字が出ているが、インサイドの速いボールには差し込まれるからね。二度目の対戦となる中日の谷繁監督が、ここまでのデータを元にどんな攻めをしてくるか。この中日3連戦で“12の4”。4本ヒットを打てれば、ひとつの壁を越えたと言えるのではないか」とは、掛布氏の見立て。 公式球が、飛ばないボールに戻るまでに、ゴメスには、日本野球で成功するための確信を手にして欲しいのだが、果たして。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)