河合優実、“ふてほど”スケバン純子大反響に「テレビの底力を再認識」 デビュー5年で20本以上の映画出演
女優の河合優実(23)がTBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」で脚光を浴び、業界関係者から「いま最も起用したい女優」と注目されている。2019年からデビュー5年で20本以上の映画に出演。22年の映画「PLAN 75」(早川千絵監督)で共演した倍賞千恵子(82)との出会いを糧に、現在は坂東龍汰(26)とダブル主演するテレビ東京系ドラマ「RoOT/ルート」(火曜・深夜0時30分)で探偵役に初挑戦している。(有野 博幸) 【写真】「不適切にもほどがある!」河合優実&岡田将生の“ラブラブ”姿が「お似合いすぎ」 「不適切―」では、聖子ちゃんカットにスケバン姿で昭和の不良少女・小川純子を好演した。「反響が大きかったですね。自分も知らない自分に出会えた気がします」。純子が令和にタイムスリップしてファッションをイメージチェンジすると、ネットで「ただただカワイイ」「河合優実の魅力が爆発」と絶賛された。 ファッションだけでなく、父親役の阿部サダヲ(53)との容赦ないセリフの応酬も好評だった。「盛りのついたメスゴリラ!」「チョメチョメするなよ!」と、不適切にもほどがある暴言を吐かれても「うっせえなあ! クソじじい!」と言い返し、視聴者に強烈な印象を残した。 放送期間中は、ほかの仕事現場でも「ドラマ、見てるよ」と声を掛けられることが多く「メディアが多様化しても、まだまだ地上波ドラマの影響力はすごい。テレビの底力を再認識しました」。世間の追い風を受け、「撮影現場の空気がどんどん良くなって、キャストやスタッフの士気も上がりました」。 ミュージカル風の演出で歌声も披露した。「宮藤官九郎さんが書く歌詞はすごく面白いけど、キュンと切ない部分もある。緊張しましたが、人前で表現することが大好きなので、楽しかった」。小学生の頃からダンスを習い、高校の文化祭で喝采を浴びたことが、芸能界を目指した原点。「こう見えて、歌って踊れる女優なんです。いつか宮藤さんの舞台にも出てみたい」と力を込めた。 19年に「よどみなく、やまない」(芝山健太監督)でデビューして5年。「若手女優ではトップクラスの演技力」と評価され、22年は1年間で8本もの映画に出演。その中でも「PLAN 75」で共演した倍賞に大きな影響を受けた。 ボウリング場での一場面。自分たちが出演しないエキストラだけの撮影シーンでも、倍賞は現場の様子を見守っていた。「倍賞さんはエキストラさんの演技を見て、胸の前で小さく拍手をして、『素晴らしい。私もあんなふうに自然なお芝居がしたいわ』とおっしゃったんです。あれほど経験豊富な倍賞さんが、ごく自然にエキストラさんの演技に見入っていた」。その姿勢に感動し、今でも鮮明に覚えている。 倍賞の姿に自分が目指すべき将来像を見た。「倍賞さんは、女優として自分を磨きたいと思って拍手をしたわけじゃない。そういう次元じゃなく、目の前で起きたことに素直に感動したんだと思うんです。私も女優という以前に、目の前のことに素直に感動できる人でありたい」。倍賞との共演は、その1日だけだったが、別れ際にハグをして「頑張っていれば、必ず誰かが見ているよ。あなたなら、できる」と激励された。 「撮影現場に行くのが楽しくて、大好き」。その気持ちはデビュー当時から変わらない。同じく22年公開の映画「冬薔薇(ふゆそうび)」(阪本順治監督)の撮影中、スタッフから言われた「河合さんは現場にいられる人だよね」という言葉が印象に残っている。「現場の空気が性に合っている。それに加えて、単にお芝居をするだけじゃなく、一緒にものづくりができる人だと認めてもらえたのかな。それが、うれしかった」 人気漫画「RoOT/ルート オブ オッドタクシー」に登場する若手探偵コンビの奮闘を描く「RoOT/ルート」で地上波ドラマに初主演。事務所の先輩で3度目の共演となる坂東とのダブル主演で「プレッシャーを分け合うことができて良かった。リラックスして撮影に臨めました」。社交的な坂東から学ぶことが多く、「誰に対してもオープンに話して、みんなと仲良くするのは、主演として大切なことですよね」。 演じる玲奈(れな)は正義感が強く、冷静でクールな性格。「不適切―」の純子とは正反対の役柄だ。探偵役も初挑戦で「役としての心の動きを意識しながら、捜査状況を説明するのが難しい。ミステリーにもあまり触れてこなかったので、新しい挑戦です」。坂東演じる佐藤とバディを組み、事件の真相に迫る。「完成した映像を見たら、バディ感が自然で『いいじゃん!』って思いました。ちゃんと2人が支え合っている」と胸を張った。 倍賞をはじめ先輩俳優から刺激を受け、「先人たちが築いてくれた歴史の先に自分が立っている。そのバトンを受け継いでいきたい」。売れっ子の宿命として、作品の掛け持ちなど大変なこともあるが、「もっと知らない世界を見たい。面白いものを作りたいから、絶対に満足することはありません」と意欲を燃やす。23歳とは思えないほど落ち着いた口調で話すクールビューティーは、卓越した演技力と熱い心を秘めている。 ◆河合 優実(かわい・ゆうみ)2000年12月19日、東京都生まれ。23歳。19年に映画「よどみなく、やまない」で女優デビュー。20年に「喜劇 愛妻物語」、21年に「サマーフィルムにのって」「由宇子の天秤」に出演し、23年の「少女は卒業しない」で長編映画初主演。6月に主演映画「あんのこと」、声優を務めたアニメ映画「ルックバック」の公開を控える。身長166センチ。
報知新聞社