世界戦に勝つ拳四朗と比嘉の勝負メシ。5万4000円高級ステーキ弁当と黒甘酒
プロボクシングのトリプル世界戦(22日、両国)の前日計量が21日、都内のホテルで行われ、WBA世界ミドル級タイトル戦、WBC世界フライ級タイトル戦、WBC世界ライトフライ級タイトル戦を行う6選手が揃って計量を一発でパスした。今回、注目したのは、過酷な減量を終えたボクサーが、計量直後にかきこむ“勝負メシ”。そこには意外な食事が……用意されてあった。 計量会場となった都内のホテルの宴会場には、パーテンションを利用して仕切られた臨時の待機場所が作ってあった。計量直前まで、その場所で待機、終われば、すぐにそこに戻り、持参した飲料で、カラカラに乾いた喉を潤し、空っぽの胃にも何かを流し込むのだ。 WBC世界ライトフライ級王者、拳四朗(25、BMB)は、元王者のペドロ・ゲバラ(28、メキシコ)との初防衛戦に臨むが、その待機場所に帰ってくると、とっておきの勝負メシが待っていた。 西麻布にある高級焼肉店「けんしろう」の特製けんしろう弁当である。 3段の重箱弁当。蓋を開けると、一段は、ミディアムレアなシャトーブリアンがご飯の上に乗ったステーキ弁当、もう一段は、タン塩が、ご飯の上に敷き詰められたタン塩弁当。最後の1段は、サーロインステーキをパンで挟んだ高級サンドイッチ。わざわざ届けにきた岩崎健志郎・店長によると、「シャトーブリアンは、山形の雪降り和牛、タン塩はアメリカ産を雪の中で熟成させたもの。またサーロインは、宮崎の尾崎牛で、いずれも最高級の素材で作りました」という。その気になるお値段は、なんと5万4000円。 5月に世界のベルトを取った拳四朗は、後援者の紹介で、自分と同じ名前の焼肉店で祝勝会を開き、その縁で、今回の勝負メシを作ってもらったという。 引退後は、「グルメレポーターになりたい」というほど、グルメの拳四朗は、計量後に、まず最初にシャトーブリアンを口に入れ、「もうやばいっすね。今回、お弁当を用意してくれるというので、これを楽しみに減量にがんばってきたんですけど。こんな美味しい弁当食べたことないっす」と、最高の笑顔。 ゆっくりと究極の勝負メシを味わった。 普段は、57キロある拳四朗は、リミットまで10キロ近い減量がある。かなり厳しい部類だが、アマ経験も豊富で、最初は、自然に落としながら、最後に一気に落とすという手法をとっている。計量後の食事について栄養バランスや試合でのエネルギーとなる炭水化物の摂取を意識するボクサーは少なくないが、拳四朗は、食べたいものを食べる、という自然派。 この日は、「弁当の後のスイーツに」と、人気のベーグル店のベーグルを持参していた。どちらかというと、好きなものを食べることで、ストレスを解消するという効果がある。 対戦相手は、あの“激闘王”八重樫東(大橋)を2年前にボディ一発で倒したゲバラである。出入りのできる勘の良さがありパンチもある。決して油断などできない、ランキング1位の指名挑戦者だ。 「これだけ用意をしてもらったんだから期待に応えたい。できれば倒したいですね」 54000円の弁当パワーを力に変えるつもり。それもひとつのモチベーションである。