カブトムシ電車「満席」運行中? 大阪・地下鉄駅員お手製の観察箱
カブトムシ電車「満席」運行中? 大阪・地下鉄駅員お手製の観察箱 撮影:岡村雅之 ナレーター・編集:柳曽文隆 THEPAGE大阪
カブトムシ電車、夏休みも「満席」で運行中です──。大阪市営地下鉄「谷町九丁目駅」の駅長室前にこの夏、生きたカブトムシを電車型の観察箱に入れて展示する「カブトムシ電車」がお目見えし、夏を惜しむかのように元気に動き回るなど箱の中はまさに「満席状態」で、子どもたちを中心とした利用客の注目をあびている。 【動画と拡大写真】メダカの駅長は改札の中 地下鉄・田辺駅で「そぉ~っとのぞいてみて~」
行き先は「八尾南」?谷町線車両に見立て制作
駅長室前に設置された「カブトムシ電車」。行き先表示が「八尾南」となった谷町線の車両をリアルに見立てた観察箱の中をのぞくと、カブトムシたちが元気に動き回る。昨年に続いて2年目で、駅職員たちが自主的につくったもの。 プロジェクトの責任者を務める東野賢一助役補が次のように話す。「少子化が進む中、幼いころから地下鉄に親しんでいただき、成長しても続けてご利用いただきたい。夏には大阪市内の小学生を対象に、市営交通を無料でご利用できるサービスを実施しています。ご家族と地下鉄の駅で楽しんで夏休みの思い出を作っていただけたらとの思いで、『カブトムシ電車』を実施しています」 7月11日から展示開始。子どもたちの反応は上々のようだ。「カブトムシを発見するとすぐに寄ってきて、カブトムシがいるよと、家族を大きな声で呼んだりして、夢中になっています」(東野さん) 予想外の反響もあった。子どもだけではなく、受験を控えた高校生から働き盛りのビジネスパーソン、リタイアしたシニア層に至るまで、幅広い世代がカブトムシに誘われて集まってくるという。 「お酒を飲んだビジネスパーソンが駅まで帰ってこられ、カブトムシを取り囲んで、一杯おるぞおと楽しんでいらっしゃいます」(東野さん) カブトムシは子どもたちだけのヒーローだけではないようだ。
カブトムシは駅職員が里山で採集
展示中のカブトムシは駅職員たちが関西の里山で採集してきた。午後8時ごろから5~6人でチームを組んで里山へ分け入り、クヌギなどに生息するカブトムシを探し出す、蚊に刺されながらのハードワークだ。 早ければ1~2時間で完了するが、朝方までがんばることもあったという。時期をずらして3回に分けて100匹以上を採集し、常時30~40匹を展示できる態勢で臨んだ。
「カブトムシ電車」をのぞきこんでいた5歳男児は、職員がカブトムシを差し出してくれても、怖くてさわれない。しかし、最後は勇気を出してカブトムシをつかんでみせ、小さな笑みを浮かべた。夏休み、少しだけ自信が付いたことだろう。展示は今月31日まで。天候不順でキャンプなどに行きそびれたファミリーは、買い物ついでに立ち寄ってはいかがだろうか。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)