考察5話『海に眠るダイヤモンド』賢将(清水尋也)を襲う噂とイメージ
進平とリナが抱えてしまった悲しい秘密
全国的な労組である全日炭と鷹羽炭連、運動方針が異なる2つの組合に入っていた端島。鉱員たちの投票によって、組合の活動を一本化することに。「投票が終われば、少しはよくなるだろうか」という鉄平の言葉が響く。賢将のことを思っての発言だ。そして投票が終わったあと、鉄平は賢将にも直接「昨日投票が終わった。少しはよくなる、よくする」と伝える。すぐに何かが大きく変わらないとしても、今よりもほんの少しでもよくするために、人々は考え、悩み、選択する。投票という行為もそのひとつだ。 進平とリナは愛する人を亡くした過去から、互いに惹かれながらもこれ以上人を「愛さない」「独りで生きていく」と確認し合うような切ない関係を築いていた。5話終盤で福岡からリナを追っていた小鉄が彼女を見つけ、殺そうとするところを助けた進平は、反対に小鉄を殺めてしまう。二人はさらに、誰にも言えない悲しい秘密を共有する仲になってしまった。それにしても、拳銃で打たれて「かすり傷」と言い、ふつうに炭鉱に向かう進平がすごい。進平の強さから、戦争の凄まじさが透けてみえるようだ。 ●番組情報 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS) 脚本_野木亜紀子 演出_塚原あゆ子、福田亮介、林啓史、府川亮介 プロデュース_新井順子、松本明子 出演_神木隆之介、斎藤工、杉咲花、池田エライザ、清水尋也、土屋太鳳、宮本信子 他 音楽_佐藤直紀 主題歌_King Gnu『ねっこ』 U-NEXTにて全話配信中(有料) ●釣木文恵/つるき・ふみえ ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。 Edit_Yukiko Arai
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