その音楽を未来に紡ぐプロジェクトも始動。今なぜNujabesが世界から再評価されているのか?
現在のヒップホップリスナーからも支持同時代の錚々たる顔触れが参加するイベントも開催間近
Nujabesはコアな国内ヒップホップリスナーからの評価も高い。 その大きな要因となっているのが、ストリートを中心にラップシーンで際立った人気を誇るヒップホップグループ、舐達麻の存在だ。不穏さとリアリティに溢れた彼らのラップが乗るのは、美しいメロディのループするトラック。主に彼らの楽曲を手掛けているGreen Assassin Dollarのビートは、もちろん低音の鳴りなど細部を見れば現代的にアップデートされていることはわかるが、同時にそこにあるのはまさにNujabesの影響を受けたであろう感情を揺さぶる美しいメロディなのだ。 実際、舐達麻の代表曲のひとつ「FLOATIN'」(プロデューサーはGreen Assassin Dollar)には、Nujabesが「「Latitude Remix(feat.Five Deez)」で使用したサンプル(GIGI MASIN「CLOUDS」)と同じものが用いられており、「100MILIONS(REMIX)」では「NujabesにTOKONA-X/受け継いだ血」とリリックにも名前が登場。それ故にNujabesは若いヒップホップリスナーにとって知っていて当然の存在と言っても過言ではない。 このような国内外からの評価/支持を表すように、本稿執筆時点でNujabesのSpotify月間リスナー数は217.1万人を記録している。 そんなNujabesの音楽を未来へと紡ぐプロジェクト、Nujabes Metaphorical Ensembleを筆頭にラインナップした屋内フェス的なイベント『flows』が12月29日、今年も東京・恵比寿The Garden Hallにて開催される。 昨年、BIGYUKI(Key)、Hironobu Saito(Gt)、Patrick Bartley(Sax)などNujabesの作品を愛する錚々たるミュージシャンに、Nujabes主催のレーベル、Hydeout Productionsの黄金期を支えたケンモチヒデフミ、Chika aka InheritがDJとして参加し、現在進行形のNujabesの音楽を鳴らしていたNujabes Metaphorical Ensemble。彼らが今年は編成をアップデートした上でさらにセッションを重ね、磨き上げた演奏と共に帰ってくる。 もちろん、その他のアクトも充実。西海岸を代表するDJのMark Farinaが来日する他、Nujabesと共作でも知られるファイヴ・ディーズ(Five Deez)のMC兼DJであるペース・ロック(Pase Rock)をはじめ、Soichi TeradaやDJ NORIといった数々のフロアを多幸感で染め上げてきたベテランに、世界中のフェスやクラブで活躍する日本人DJのPowder、Boiler Room Tokyoでのパフォーマンスも話題となったDJのnasthug、京都を拠点に活動する4人組インストゥルメンタルバンドであるNABOWA、WONKのボーカリストとしても知られるKento Nagatsukaと、バリエーションに富んだラインナップだ。 リアルタイムでNujabesの音楽に触れてきた世代はもちろん、最近になってその音楽に魅了された新たなリスナーも楽しめるイベントであることは間違いない。それに海外からのオーディエンスも少なくないはず。世代も国境も超えたフロアで、Nujabesの音楽を共通言語に語り合い、踊る年末も悪くない。 というか、最高なのでは?
flows
■開催日:2024.12.29 SUN ■開催時間:OPEN 14:00 CLOSE 21:00 ■会場:The Garden Hall(東京都目黒区三田1-13-2) ■出演者:Nujabes Metaphorical Ensemble、Mark Farina、Powder、NABOWA、Pase Rock、Soichi Terada、nasthug、Kento Nagatsuka、DJ NORI ■ADV TICKET:Zaiko
高久大輝