〝もうかる農業〟体現 輸出、ファンづくり…茨城のJAが進めるサツマイモ戦略
茨城県のJAなめがたしおさいが取り組むサツマイモの輸出が、軌道に乗っている。2017年度のカナダを皮切りに、現在はタイを中心として香港、シンガポール、欧州などに広がる。JAは有利販売につなげるため、今年7月をめどに部会でのアジアGAP(農業生産工程管理)団体認証の取得を目指す。おいしく食べるための情報も取引先に発信。国内外にファンを拡大し、「もうかる農業」をさらに進める。 アジアGAPの取得を目指しているのは、JA甘藷(かんしょ)部会連絡会。227人が所属し、750ヘクタールでサツマイモを生産する。年間出荷量は2万トン、年間売上額は51億7000万円と全国のトップ産地だ。部会員14人が取得準備を進めている。段階的に取得者を増やし、26年までに50人が取得を計画する。
食味高めるこつ、実需と共有
JAは近年のサツマイモブームの火付け役でもある。生産者とバイヤー、卸売会社などと連携し、全国のスーパーに焼き芋器の設置を働きかけ、売り場をつくった。産地独自の「焼き芋マニュアル」を作成し、取引先に配布。品種や時期ごとの焼き上がり時間など、おいしい焼き芋ができるこつをデータで可視化して伝えた。 生産面では、04年に軟腐病が拡大し、その解決へ貯蔵中の腐敗を防ぐキュアリング処理施設を整備。大量の芋を貯蔵して、周年供給できる体制を整えた。同連絡会の箕輪詩郎会長は「クレームゼロを目指して、他産地に追い抜かれないよう日々勉強している」と話す。 輸出は出荷量の多い12~4月が中心。18ある等級のうち4等級を輸出に仕向ける。22年度の輸出量は約997トンで全体の5%を占め、輸出金額は、約3億2800万円に上る。 JAの金田富夫専務は「もうかる農業を実現するには、JAらしくないことに取り組むことが大事。若手後継者に魅力的なJAだと思ってもらえるよう取り組む。JAは、常に情報の一歩先を行かないといけない」と先を見据える。
日本農業新聞