「逆風じゃない、突風だ」“裏金選挙”であの重鎮、現役閣僚、連立のキーマンも落選…自公過半数割れで政界ガラガラポンへ
27日に投開票された第50回衆院選で、自民党と公明党の与党の獲得議席が過半数を下回る結果となった。自公の過半数割れは、民主党政権が誕生した2009年衆院選以来、15年ぶりのこと。今回の“裏金選挙”を経て、多くの大物議員たちが永田町を去る。 【画像】裏金問題で10期連続当選とはならなかった自民党の重鎮
党4役、閣僚経験者が相次いで落選
今回の選挙は、自民党派閥の裏金問題や、非公認とした候補者側への2000万円の活動費支給などによる逆風が響き、大物議員が続々、落選。 東京11区では、これまでに文科相や党の政調会長を歴任した下村博文氏(70)が、無所属で出馬するも落選。これまで選挙区で負けなしの9連勝を誇ったが、今回は「政治とカネ」、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題のW逆風を受け、10期連続の当選とはならなかった。 東京7区では、環境相や五輪相を歴任した丸川珠代氏(53)が落選。丸川氏は政治資金報告書にパーティー券収入の不記載が判明。今回の選挙で党から公認は得られたが、比例代表への重複立候補は認められなかった。 「丸川さんは選挙終盤、街頭演説で涙ながらに『お助けください』と訴えたことが話題になったが、結果的にあれも逆効果になった」(政治部記者) 福岡11区では、8選を目指した自民・前職の武田良太氏(56)が落選。2003年以降、7期連続で勝利してきた武田氏だったが、今回は裏金事件で党の役職停止1年の処分を受け、厳しい戦いを強いられた。 神奈川20区では、自民党の重鎮である甘利明元幹事長(75)が、立憲民主党の大塚小百合氏(44)に敗れ、落選。甘利氏は比例代表候補の「73歳定年制」に該当し、重複立候補しなかった。 福井2区では、元党国対委員長で安部派幹部「5人衆」にひとり、高木毅氏(68)が9選を目指し無所属で出馬もあえなく落選。保守王国といわれる福井県の小選挙区で、「非自民」の議席獲得を許したのは28年ぶりとなった。
公明・石井代表落選で進退も
石破内閣の現役閣僚の小選挙区での敗北も相次いだ。いずれも前職の埼玉5区、牧原秀樹法相(53)と鹿児島3区、小里泰弘農相(66)、愛知8区の伊藤忠彦復興相(60)が選挙区で敗れた。 このうち、伊藤復興相は比例復活したが、牧原法相と小里農相は比例でも復活できず落選。現職閣僚の落選は2016年の参院選以来となる。 また、自民党の裏金問題は、連立政権を組む公明党にも大きな打撃となった。比例北関東から埼玉14区に転出し、初めて小選挙区での戦いに挑んだ石井啓一代表(66)がまさかの落選。 公明党は候補を擁立した11の小選挙区で、いずれも比例代表との重複立候補をしておらず、比例復活はない。石井氏は9月に代表に就任したばかりだが、この落選により、党運営体制の抜本的な立て直しを迫られることになる。 今回の選挙で、自民は公示前の247議席から56減の191議席、自公で計215議席となり、目標としていた過半数の233議席をも下回ることになった。 選挙戦を戦った自民党の議員が言う。 「今回の選挙は逆風からはじまり、非公認候補への2000万円問題発覚で『突風』になった。あれでジ・エンドだよ。森山幹事長は続投の意向を示したというが、あの人が推し進めた早期解散戦略も含めて、普通に考えたら責任は免れないだろう。自民執行部も、連立の枠組みも、明日からガラガラポンだ」 取材・文/集英社オンラインニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班