デイリースポーツ秘蔵写真も初公開! 日本独自企画のブルース・スプリングスティーン「ボーン・イン・ザ・USA」40周年記念盤が激アツ
「ボス」こと米ロック界の大御所、ブルース・スプリングスティーン(74)の大ヒットアルバム「ボーン・イン・ザ・USA」(1984年)の40周年記念ジャパンエディションが今月25日にソニー・ミュージックからリリースされる。ブックレットにはデイリースポーツから発掘され、今回が初公開となる1985年4月、初来日ツアー大阪公演の写真7点も掲載されている。ボブ・ディラン、ピンク・フロイド、今回のスプリングスティーンなど、洋楽ファン驚きの日本独自企画を連発するソニーの秘密に迫った。 【写真】初公開の秘蔵写真 すげ~ ◇ ◇ ソニーはこれまでも洋楽の超大物アーティストの貴重な音源、映像を発掘し、日本独自企画で商品化して、洋楽ファンを歓喜させてきた。 ピンク・フロイドの「原子心母(箱根アフロディーテ50周年記念盤)」(2021年)では、1971年の野外音楽フェス「箱根アフロディーテ」で行われた伝説的な初来日公演の16ミリ映像を発掘して収録。ボブ・ディランの名作ライブ盤「武道館」(1978年)のためにレコーディングされた2公演分の音源を発掘しCD4枚組、LPでは8枚組に収録した「コンプリート武道館」(2023年)は海外でも話題を呼んだ。 とはいえ、どれだけ素晴らしい発掘音源や映像、企画でも、大物アーティストになればなるほど許諾を得るための交渉は困難だ。本国でもない日本発ではなおさらのこと。制作担当の白木哲也さんは「その壁を突破するためには、アーティストやマネジメントとの人間関係を築くことと、いくら時間がかかろうとも信じ続けて諦めない心が一番重要です」という。 前記の「原子心母」は発売まで4年、「コンプリート武道館」に至っては15年以上の歳月がかかった。白木さんは「いかにこれが歴史的に重要なものなのか、アーティストと日本の絆など意義を繰り返し説明し、NGが出ても出ても諦めずに何度も交渉し続けました」と打ち明ける。 ことが進む大きなきっかけの一つは「周年」で「交渉の中で流れを変える大きなポイントとなりました」という。実際にピンク・フロイドは初来日から50周年、ディランは初来日から45周年の年に実現した。今回のスプリングスティーンも「ボーン・イン・ザ・USA」の発売40周年というタイミングだ。 そういった企画を実現させてきた白木さんから相談があったのは7月のこと。1985年4月に行われた大阪公演の写真がないかとのことだった。大阪公演とあって神戸本社の映像担当に問い合わせたところ、10点が保存されているという答えが返ってきた。 スプリングスティーン&Eストリート・バンドの初来日公演は計8公演。大阪では4月22、23日に大阪城ホールで行われた。今回発見された写真は初日のもので、当時の紙面には1点しか掲載されておらず、ブックレットに掲載される7点は全て初公開となる。 白木さんは大阪公演の写真について「公式に発表されているものは一切ありませんし、ファン撮影のものもネットなどでも存在が確認されてきませんでした」と指摘。特に貴重なのは「特に日本公演ではこの1枚しか存在していないと思います」という、メンバー全員が写っているものだという。「ライブ撮影はできたとしても頭1、2曲で、ステージ前から撮影しなくてはならなかった」という事情と、バンドが大人数とあって「全員をステージ上で一つの写真に収めることはかなり至難の業だった」ためだ。 白木さんは「今回デイリースポーツのアーカイブから発見された写真は世界中のスプリングスティーン・ファンが驚くと思います」と請け合った。もちろん、デイリースポーツが提供した写真は貴重な素材のごく一部で、ジャパン・エディションには見どころ、聴きどころが満載だ。 CDはオリジナルアルバムに加え、3枚のボーナスディスクに1985年8月22日、地元ニュージャージーのジャイアンツ・スタジアムでのライブ29曲を収録。同年4月の初来日公演のセットリストに近く、ボーナストラックとして日本公演で重要な楽曲だった「レーシング・イン・ザ・ストリート」と「ロザリータ」を1984年8月6日、同じく地元NJのブレンダン・バーン・アリーナでのライブ音源から収録した。ボーナスディスクの全31曲中26曲が日本公演でも披露された楽曲で、初来日公演に近いライブが追体験できることになる。 ジャケットは日本独自の見開き7インチ紙ジャケット仕様。「1985 Japan Tourメモリアル・フォト・ブック」には来日公演に同行した写真家ニール・プレストンの未発表を含むライブ写真、原宿や京都でのオフショット、日本に残されていたアーカイブ写真、ツアー関連資料、全公演チケット、新聞、雑誌の表紙、アルバム発売時の宣伝資料、メモラビリアなど貴重な写真を集大成。初来日のドキュメンタリー的な秘話を満載した詳細な日本語ブックレット付きだ。 さらに、初来日公演のために作成されたツアー告知ポスターも復刻、封入される。日本のレコード会社の底力を見せつける今回のジャパン・エディションには世界中のボス・ファンが羨望(せんぼう)のまなざしを向けるだろう。 来年は初来日から40周年。そう、「周年」だけに、1997年以来となる来日公演も実現させてほしい。(デイリースポーツ・藤澤浩之)