中国で子供のフィットネスが人気 親たちの期待と不安
【東方新報】中国にあるショッピングモールの子供向け体力トレーニング施設で、3~4歳の子供たちが馬歩(両足を広げて腰を落とす少林武術のおなじみの基本姿勢)の練習をしている。他の子供たちはインストラクターの動きを真似してしゃがんでいるが、ある男の子はずっとぼーっと立っている。最終的にインストラクターが後ろから彼を抱えて動作を導いた。 社会人がジムで汗を流している間に、子供たちもフィットネストレーニングで新たな高みを目指している。 ■1歳半から始める体力フィットネス 体力フィットネスとは、バランス、ランニング、ジャンプ、投てき、クライミングなど、さまざまなスポーツの基礎練習を指す。近年、子供向け教育市場の拡大とともに、多くの子供向け体力トレーニング施設が登場し、一部の主要都市ではチェーン店も誕生している。 中国新聞社(CNS)のが注目したところ、これらの子供向け体力トレーニング施設は、従来のバスケットボール、体操、体力トレーニングのほか、いじめ防止や体力測定のコースなど、多くの細分化されたプログラムを提供している。 ある体力トレーニング施設のインストラクターは、「各年齢層の子供たちが参加している。最も早い子供は1歳半からで、親子運動やランニング、ジャンプ、クライミングなどの大きな運動を行うため、親の付き添いが必要だ。3歳半や4~5歳から参加する子供もいる」と語った。 このインストラクターは、多くの子供が学校の体力測定に合格するためにトレーニングに参加していると説明した。「3~4年生になると、体力測定のための準備が必要になる。現在、学校では体育の成績に厳しい要求があり、多くの子供が縄跳びやランニングに合格しないためにトレーニングを受けに来ている」 ■体重管理を目的にしている家族もいる 北京市在住の武(Wu)さんは、最近の体力測定で子供がやや肥満気味であることがわかったため、子供を体力トレーニングクラスに通わせることを検討している。「子供は今年5歳半で、幼稚園の年中クラスに通っている。体重は約24キロで、肥満のため姿勢が悪いのでもっと運動させたい」 武さんは、子供が体験クラスに参加した経験を語った。「1時間半のクラスで、途中に1~2回、5分程度の休憩がある。クラスの内容は、クライミング、高い足上げ、往復ランニングなどが含まれていた。子供はこのような強度の運動を初めて経験し、30分ほどで汗をかいたが、精神状態は良好だ。夜寝る前に腕や脚が痛いと言ったので、私と夫で長時間マッサージをしてあげた」 ■安全性の確保 武さんは複数の体験クラスを試した後も、クラスに申し込むかどうかを決めかねている。その理由は、体力トレーニングクラスに潜むさまざまなリスクが無視できないからだ。 「いくつかの施設では、5~6歳の子供と11~12歳の子供が一緒にクラスを受けることがある。このような状況では、子供が怪我をするリスクが高まるのではないか。もし怪我をした場合、インストラクターや施設は適切な応急処置を行うのか」と疑問を呈した。 ■前払いの罠 中国にある他の教育施設と同様に、子供向け体力トレーニング施設は前払い方式を採用しており、退会や返金が難しい、または施設が突然閉店するという「魔の罠」にも悩まされている。 あるインストラクターによれば、現在の一線都市では、少なくとも年間1~2回のクラスを受けるのが理想で、これに基づくと年間のトレーニング料金は通常数万元(1万元が約21万3394円)に達する。例えば、ある施設では48回のクラスで1万2880元(約27万4851円)、96回のクラスで2万3880元(約50万9584円)という料金が設定されている。個別指導の場合、1回のクラス料金は200~300元(約4267円~6401円)、高いところでは500元(約1万669円)に達することもある。これらの料金は一括払いとなる。 CNSによれば、今年に入ってからも子供向け体力トレーニング施設の閉店が相次いでいる。例えば、今年4月には「星動計画児童体育館」という施設が資金を持ち逃げして閉店したと一部の保護者が主張している。6月には安徽省(Anhui)で「GUKU悟空児童トレーニングクラス」という施設が十数店舗から5店舗に減少し、返金要求は拒否されたと報告されている。 これらの閉店した施設の中には、新しい施設が引き継いだものもあるが、多くは返金の見込みがない。「前日にクラスを受けていたのに、翌日に閉店の告知があり、責任者と全く連絡が取れない」とある保護者は話した。 このように、子供の体力向上は重要だが、混雑した市場の中で信頼できる施設を選ぶためには慎重な判断が必要である。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。