あの名監督や女優を丸裸にするドキュメンタリーも!今年で最後の「カリコレ(R)」の観逃したくない注目作をチェック
新宿武蔵野館の姉妹館として2012年にオープンしたミニシアター、新宿シネマカリテを会場に、開業2年目となる2014年7月から毎年真夏に開催されてきた“カリコレ(R)”こと「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション(R)」。多彩なジャンルの映画を観客に届けてきたこの映画の祭典は、7月12日(金)~8月8日(木)にかけて催される「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション(R)2024 THE FINAL」で記念すべき第10回を迎えるが、タイトルにもあるように今回でファイナルとなる。 【写真を見る】名監督のドキュメンタリーなど、「カリコレ(R)」の観逃し厳禁な作品は? 最後だけあって、新作・旧作共によりいっそう気合いの入っている今回のラインナップのなかから、観逃したくない注目作を紹介していきたい。 ■アルジェント監督の創作の秘密に迫る!日本初公開のドキュメンタリーがアツい 新作から今回の目玉の1つと言えるのが、イタリアンホラーの巨匠ダリオ・アルジェント監督にスポットを当てた『ダリオ・アルジェント PANICO』。メガホンを握ったのは、同じくイタリアンホラーの帝王ルチオ・フルチの人物像に迫った『フルチ・フォー・フェイク』(19)などのサイモン・スカフィディ監督だ。 創作の秘密を語ったアルジェント監督の貴重なロングインタビューや監督作品のメイキング映像に加え、ギャスパー・ノエ、ギレルモ・デル・トロ、ニコラス・ウィンディング・レフンといった名だたる監督たちがアルジェント作品から受けた影響を語る本作は、アルジェントマニアのみならず全映画ファン必見だ。 なお、7月20日(土)の本編上映後にはホラー映画ライターの山崎圭司氏、是空プロデューサーの鈴木淳一氏によるトークショーも実施。今回の上映にあわせたTシャツをはじめ、ポスターやアクリルスタンドも販売するなど、ファン垂涎の企画も盛りだくさんとなっている。 さらにドキュメンタリーでは、『ソウル・サーファー』(11)でも知られるサメに腕を噛みちぎられ片腕を失くしたサーファーのベサニー・ハミルトンにカメラを向け、二児の母となった彼女の終わりなき挑戦に密着する『ベサニー・ハミルトン:アンストッパブル』。 「ブリジット・バルドー レトロスペクティヴ BB 生誕90年祭」の先行公開作としてバルドーの様々な誤解を貴重な映像資料を駆使したビデオレターのような手法でただしていく『ブリジット・バルドー 誤解』も上映。「BB 生誕90年祭」の上映プログラムには入っておらず「カリコレ(R)」でしか観られない貴重な1作だ。 ■新作をいち早くチェック!白石晃士監督の謎に包まれたホラーも また、日本公開を控える作品から公開未定のものまで様々なジャンルの新作映画もラインナップされている。『#スージー・サーチ』は、カーシー・クレモンズ(『ザ・フラッシュ』)とアレックス・ウルフ(『ヘレディタリー/継承』)というフレッシュなキャストが共演した注目作だ。 ポッドキャストで未解決事件の考察を配信をするもなかなかフォロワーが増えないスージー(クレモンズ)は、ある日突然失踪した人気インフルエンサーの同級生ジェシー(ウルフ)の事件を追い、彼を発見。これを機に人気者となっていくスージーだが、事態は思わぬ方向に転がっていき…。SNSカルチャーをスリリングに風刺した本作はトロント国際映画祭で話題を集めており、ぜひチェックしておきたいところ。 そのほかにも、深い森の奥の曰くつき廃墟での生配信中に巻き起こる恐怖をPOVで映しだすSXSW映画祭観客賞受賞のホラー『デッドストリーム』や、紀元1世紀を舞台に、ローマ帝国によってすべてを奪われた女性の復讐を描くオルガ・キュリレンコ主演の『ブーディカ 美しき英雄』、ジェナ・オルテガ出演のコメディホラー『アメリカン・カーネイジ』など多彩な作品を取りそろえている。 また「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」などで知られる白石晃士監督による未公開作品も独占上映。事前の情報解禁はいっさいなしという本作は、白石監督曰く「内容は秘密ですが、ホラーではあります。しかしいままでの私のホラー映画とはまた違った味わいのある、【エレガントな和製ホラー】となっております。敬愛する複数の監督の作品に多数出演された名優との刺激的な初仕事でもありました」とのこと。白石監督に加え、“最強の仲間たち”による上映後の登壇も予定されているとのことなので、気になる人は足を運ぶしかない! ■スクリーンで楽しみたい懐かしの名作たち ファイナルにふさわしく、旧作も多数ラインナップされており、100周年を迎えるコロンビ・アピクチャーズの1990~2000年代の作品をセレクトした「コロンビア・ピクチャーズ創立100周年記念カリコレ(R)SPセレクション」では、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ドラキュラ』(92)や『あの頃ペニー・レインと』(00)の特別編集版などを楽しむことができる。 「アスミック・エース meets カリコレ(R)SPセレクション!」では、『サプライズ』(11)や『ドニー・ダーコ』(01)といった洋画から湯浅政明監督の名作『マインド・ゲーム』(04)といった日本映画まで、スクリーンで観たい絶妙な懐かしの名作が並ぶ。 さらに美しい者だけが権力を握る近未来を舞台に、醜悪な容貌ゆえに迫害を受け、社会に復讐を誓うテロリスト集団の活躍を描いたバイオレンス満載の『アクション・ミュタンテ』(93)は4K版で上映。スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルが才能にひれ伏し、製作を担当したというアレックス・デ・ラ・イグレシア監督によるデビュー作は必見だ。 また、第37回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞したメーサーロシュ・マールタ監督の『日記 子供たちへ』(80)も4Kレストア版で上映。日本での劇場公開は初となる貴重な機会だけに観逃したくないところ。 普段なかなか目にすることのできない作品を届けてくれる「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション(R)」。最後なのでこの機会にぜひ会場に足を運び、多種多様な作品に酔いしれてみてはいかがだろうか? 文/サンクレイオ翼