「声を出すことは自分を解放すること」声楽学ぶ全盲の女子大生 想像以上の戸惑いと苦労…周囲に変化
大分県立芸術文化短期大学に全盲の女子学生が今年度、初めて入学。声楽コースに通っていて、周囲のサポートを受けながら勉学に励んでいます。 【写真を見る】「声を出すことは自分を解放すること」声楽学ぶ全盲の女子大生 想像以上の戸惑いと苦労…周囲に変化 ■大学生活で想像以上の戸惑いや苦労… 県立芸術文化短大で声楽を学ぶ車谷萌花さんは生まれつき目が見えず、盲導犬を連れて学生生活を送っています。愛媛県出身の車谷さんが声楽に出会ったのは中学3年生の時で、当時通っていた筑波大附属視覚特別支援学校で声楽を学ぶ授業に参加したのがきっかけでした。 車谷萌花さん: 「声を出すのが面白かったんだと思います。言葉は目が見えなくてもハンディがないじゃないですか。同じように伝えられるし、同じようにしゃべれるし、同じように聴ける」 ただ、あこがれの大学生活には想像以上の戸惑いや苦労がありました。車谷さんは点字の楽譜を使っているため、どうしても授業のスピードについていけないことがあります。このため大学はサポート役を上級生に募り、学生が手助けしています。 (サポートする上級生)「先生が板書したことを、車谷さんが『今何ていいましたか?』とわからないことを尋ねてきて、それにこたえる感じです。学生のうちにこんな経験をさせてもらえてありがたい」 また大学側は安全なルートを確保するため、キャンパス内に新しく歩道を整備しました。 車谷萌花さん: 「大量の車がびゅんびゅんやってきて、一人通るのもやっとかなという道を通っていたので、それに比べたら安心感とか安全性も変わったと思います」 「頭の中で地図を描くのが恐ろしく下手なんです。よく道に迷ってしまい、叫ぶしかないんですが、そういう時に限って誰もいなかったこともありました(笑)」 ■「声を出すことは自分を解放すること…」 車谷さんに声楽の指導をする教授は、彼女の存在が多様性を尊重する社会の実現に向けて、まわりの学生に良い影響を与えているといいます。 行天正恭教授: 「声楽は体が楽器と言われ、声質も人それぞれ。彼女は生まれつき良い声質を持っている。レッスンでは『アレ』『ソレ』とか言わず、きちんと言葉で指導するよう気をつけています」