“歌謡界の三銃士”真田ナオキ&辰巳ゆうと&新浜レオン、演歌と歌謡曲の魅力を語る
実は今、演歌&歌謡シーンは個性的な若手の歌手が続々と登場し、新たなファンを開拓中。その中でも、歌声はもちろん、その美貌でも人々を魅了している、注目の3人が登場です。 【真田ナオキ】無茶をしてノドを潰し手に入れたこの声が、僕の武器。 スッとした端正な顔立ち、長い手足とバランスの良い体躯。しかしマイクを持って歌い出すと、そのルックスからは想像がつかないハスキーなしゃがれ声! ! 一度聴いたら忘れられない個性的な声を持つ、真田ナオキさん。最近リリースした東京の繁華街を抜ける国道をテーマにした新曲『246』が、じわじわと人気です。 「演歌歌手になりたいと思ったのは21歳のとき。太くしゃがれた声で、ドスが利いたような雰囲気の歌い方に憧れていたんですが、当時の僕は声が幼く、思ったようにカッコよく演歌が歌えなかった。しかも“才能がない”とか“プロは無理”みたいなことをたくさん言われていたこともあって、それこそボーダーを超えるために何かしなければ…と思い、“そうだ、ノドを潰そう! ”と思ったんです。いま振り返ると、何を考えていたんだと思いますよね (笑)」 やると決めたら猪突猛進という真田さん。海で叫び、唐辛子を大量に食べ、酒でうがいをし、カラオケボックスで6時間以上も叫び続けたそう。 「本当に喉から血が出るくらいノドを潰しまくり、歌の先生に“バカじゃないのか! ? ”と呆れられました (笑) 。でも今は声が好きと言ってくださるファンの方もたくさんいるし、この声のおかげでチャンスも広がった。無茶をしたとも思いますが、結果的には潰してよかったと思っています」 演歌や歌謡曲の魅力は何かと尋ねると、“程よくカッコよく、程よくダサいところ”と、ニヤリ。 「僕の師匠は吉幾三さんで、師匠が作るメロディや音はすごくカッコいいんです。でも一方で歌詞はどことなく古い感じが漂って、絶妙に少しだけダサい。師匠は『246』の歌詞の中で、ファミリーレストランのことを“ファミレ”って書くんですよ (笑) 。ただカッコいいのもいいけれど、ちょっとホロッとできたり、少し笑えたり、演歌や歌謡曲にはそんな“優しい寄り添い”があるし、もちろん歌声で感動させることもできる。最近の演歌はポップス寄りな曲も増えているので、軽い気持ちで聴いてもらえると嬉しいです」 演歌歌手たるもの、高い歌唱力を持っていて当然。でも真田さんが目指すのは、それよりも強い個性がある歌い手。 「演歌界の中で、破天荒な存在でいたいんです。音程やリズムも大事だけれども、ある意味そこに縛られない歌の巧さを身につけたいし、あいつは面倒くさいけど、面白いよねって思ってもらいたい。そして、サビだけでいいからみんなが口ずさんでくれるようなヒット曲を歌いたいですね。とりあえず今年の目標は紅白出場。ぜひ楽しみにしてください!」 『246』 (テイチクレコード) 赤坂から青山、渋谷を通り国道246号線をドライブ。そんな世界を、個性溢れるノックアウトボイスで歌います。作詞・作曲は師匠である吉幾三氏。写真の〈駒沢通り盤〉のほかに〈青山通り盤〉〈DVD付き〉も。各¥1,500 さなだ・なおき 小学校から空手と野球に全力を捧げ、一度社会に出た後、2016年に歌手デビュー。2019年にテイチクに移籍し、2020年シングル『恵比寿』にてメジャーデビュー。10/11には浅草公会堂でコンサートが。 シャツ¥8,500 チノパンツ¥9,000 シルクスカーフ¥5,000 (以上Verandah Aoyama TEL:03-6450-6572) その他はスタイリスト私物 【辰巳ゆうと】どんな曲でも、聴く方の想像を超える歌を届けたい。 俳優かと見紛う甘いルックスの持ち主である、辰巳ゆうとさん。しかしその素顔は、3歳で三橋美智也さんの「哀愁列車」を覚えたという筋金入りの演歌男子。 「祖父母に連れられて毎週末通ったカラオケ喫茶で演歌を覚えました。歌詞の意味はわかりませんでしたが、僕が歌うとおじいちゃんやおばあちゃんが褒めてくれ、お菓子をくれるんです (笑) 。小さい頃はそれがとても嬉しかったのを覚えています」 中学1年のとき今の事務所のカラオケ大会に出場し、高校1年からは毎月1回東京でレッスン。その経歴、デビューまで順風満帆だったように見えますが…。 「いや、成長すれば現実も見えてきますし、声変わりもあったりして、正直気持ちはどんどん萎 (しぼ) んでいきました。でも大学進学で上京し、やっぱり諦めきれず、錦糸町や赤羽など演歌が好きな人が多そうな街で、ストリートライブをやってたんです。それを事務所のスタッフが見てくれて、デビューへの道がやっと開けました」 演歌や歌謡曲のメロディにはどこか懐かしさがあり、聴いているとタイムスリップする感覚が味わえる、と辰巳さん。そして歌詞は、J‐POPなどに比べると言葉数が少ないのが特徴的、とも。 「多くを語らずとも、聴く人にいろんな景色や感情を想像させる、その奥深さが本当に魅力的。そういった曲だからこそ歌い手として感情をどう表現するか試されますし、さらにこぶしを回したり…といった演歌ならではの技巧も入れたい。思いを込め、それと呼応するようにこぶしを回して歌うことができると、本当に気持ちがいい。それこそが、僕にとって演歌を歌う醍醐味です」 昔ながらの演歌を歌う一方で、新曲『迷宮のマリア』は、外連 (けれん) 味たっぷりの王道歌謡曲。ステージではファンとコール&レスポンスを交わすのが新鮮だとか。 「僕としては、ド演歌も歌いたいし歌謡曲も歌いたい、ミュージカルもやりたいし、フェスにも出たい。僕は“これを歌って”と頼まれたら、みなさんが想像する以上のクオリティでお届けするのがプロの歌手だと思う。そのためにもっともっと巧くなりたいです」 ボーダーを超え多くの挑戦をしたい、と辰巳さん。でもそれは音楽的なことだけではないようで、 「僕は大阪出身なので、めちゃめちゃお笑いが好き。実は真田くんと新浜くんに“一緒にM‐1に出よう”と誘ってるんですが、ずっと断られ続けていて (笑) 。他にも、3人でゴムパッチンで勝負して、勝った人だけ歌が歌える、みたいなこととかもやりたいんですよ。そういう演歌番組とか、ぜひやらせてください (笑)」 『迷宮のマリア』 (ビクターエンタテインメント) 数多くの名曲を手掛けた松井五郎氏の歌詞を、疾走感溢れるメロディに乗せた新感覚歌謡曲。写真は〈Aタイプ〉で、ほかに〈Bタイプ〉〈Cタイプ〉があり、それぞれジャケットとカップリング曲が異なる。各¥1,500 たつみ・ゆうと 野球に明け暮れた中学時代を経て、大学在学中に歌手デビューを果たした。「辰巳ゆうと スペシャルコンサートツアー2024」が、8月30日のLINE CUBE SHIBUYAを皮切りに、全国で開催。 【新浜レオン】若い世代に演歌・歌謡曲の魅力を伝える、架け橋になりたい。 大学のミスターコンテストでグランプリ、バイト先は銀座にある某外資系アパレル。今どきのイケメン要素たっぷりな新浜レオンさんですが、高校卒業時に演歌・歌謡歌手を志し、夢に一直線。ミスターコンもアパレルのバイトも、 「平成、令和の世の中では、“演歌・歌謡曲歌手らしくない”経験を積むことが、逆にインパクトになり、チャンスを掴むきっかけになるのでは…と逆張りで考え、いろんなことにトライをしたんです。ミスターコンの会場で、『青春時代』という歌謡曲を客席を練り歩きながら歌ったり (笑)」 実は新浜さん、お父様も演歌歌手。大学時代はお父様の付き人やバックコーラスとして経験を積み、大学4年の6月にやっとデビューのきっかけを掴んだ。ちなみに当時の新浜さんは、真っ黒に日焼けして髪型はツーブロック、体はガチガチのマッチョだった! 「事務所の社長に、『歌声はすごくいい! でもちょっと日焼けしすぎかな、髪も短すぎるかな。それからもう少しシュッとしたほうがいいかもね』と、逆張りを全否定されまして (笑) 。でも僕は母親から、『大学4年間でデビューが決まらなかったら、諦めなさい』と言われていたので、まさに最後のチャンスだったんです。指摘されたポイントはすぐ修正し、無事にデビューが決まったときには、本当に嬉しかったです」 新浜さんが尊敬する人といえば父親。そしてもう一人、昭和の歌謡界で大活躍をした西城秀樹さんも、憧れの存在だ。新曲『全てあげよう』は、曲も衣装も振り付けも、“秀樹イズム”たっぷりの一曲。なんと曲を手掛けたのは所ジョージさんで、プロデュースは木梨憲武さんという豪華布陣。 「縁あって木梨さんのラジオに出演させていただき、そこで木梨さんが所さんに『レオンくんは秀樹さん好きだから、秀樹さんぽい曲作ってよ』と言ってくれたんです。でも番組内でのリップサービスだと思っていたら、2日後に連絡をくださり、なんと翌週にはレコーディングまで話が進んで、本当にCDが完成してしまって…。今でも信じられない感じです」 演歌や歌謡曲は、イントロや間奏、アウトロと骨組みがしっかりしていて、だからこそ歌詞がない音楽パートでも想像が掻き立てられるところが好き、と新浜さん。 「TikTokでは出だしの3秒が勝負なんて話もあるせいか、最近はイントロがない曲も多いですよね。でも演歌・歌謡曲ファン的には、イントロが鳴り、その曲の世界がガーッと拡がるところがいい。その良さを、ぜひ僕と同世代の方にも味わってほしいです。騙されたと思って、一度聴きに来てください。絶対魅了しますから」 『全てあげよう』 (海峡レコード) 昭和歌謡な世界観のスター系歌謡ロック。写真の〈アモーレオン盤〉のほかに、〈コングラッチュレオン盤〉〈繋がレオン盤〉〈惚れ惚レオン盤〉〈ゆらレオン盤〉が。それぞれジャケットとカップリング曲が異なる。各¥1,350 にいはま・れおん 甲子園の夢が破れてから歌手を志し、演歌歌謡とほぼ縁がなかったビーイング (現B ZONE) にデモテープを持参し、デビューを勝ち取る。 ※『anan』2024年8月7日号より。写真・内田紘倫 (The VOICE) スタイリスト・roughrolls (真田さん) 伊藤伸哉 (辰巳さん) ヘア&メイク・HALU (真田さん/THE GLOBES) 合田和人 (辰巳さん/D-GO) MEGUMI TSUKAGOSHI (新浜さん/M’s) (by anan編集部) あわせて読みたいanannewsEntame 島津亜矢「気持ちいい、というのが一番です」 アレサ・フランクリンのカバー…2024.7.13anannewsEntame 天童よしみ「これがヒットなんだ」 50年の歌手人生を振り返る2022.9.24anannewsEntame 大橋純子「大人の世界を覗いているようなドキドキ感が」 子守唄はキャバレー…2022.7.1anannewsEntame 八代亜紀 “トラック野郎”からの応援に「幸せな運命を感じました」2021.4.17anannewsEntame 氷川きよし「ファンの夢を壊すんじゃ…」 “演歌界のプリンス”の葛藤2020.6.6