IDGsで実現する持続可能な未来 個人の内面的成長と企業の発展に生かすには
IDGs(Inner Development Goals)の考え方が、持続可能な開発の実現に向けて、人々の内面からのアプローチを強化する枠組みとして注目されている。IDGsは今後の変革に必要な重要な能力や資質、スキルを説明するフレームワークのことであり、持続可能なビジネスを実現するための新しいグローバルスタンダードともいわれている。 書籍「IDGs 変容する組織」(経済法令研究会)の共著者で、マーケティングを専門とする上智大学経済学部教授の新井範子さんに、個人と企業のIDGsの生かし方について聞いた。(聞き手 SDGs ACTION!編集部・池田美樹) 【新井範子(あらい・のりこ)】 上智大学経済学部経営学科教授。研究領域はマーケティング。特にSNSを活用した企業とコミュニティーによる価値共創のマーケティング、消費者の行動やライフスタイルを研究。近年は企業の社会貢献活動のマーケティングの応用や、高齢者の視点にたった金融商品の適切な説明や管理運営のためのファイナンシャルジェロントロジー研究も行っている。
持続可能な開発には個人の内面的な成長が不可欠
――IDGsの考え方が注目されています。なぜ重要だと考えられているのでしょうか。 IDGsは、ビーイング(自分のあり方)、シンキング(考える)、リレーティング(つながりを意識する)、コラボレーティング(協働する)、アクティング(行動する)という5つのカテゴリーと23のサブカテゴリーに分かれており、SDGsの補完的な役割を果たすとともに、持続可能な開発には個人の内面的な成長が不可欠であるという考えに基づいています。これらを通じて、自分なりの気づきや考え方を深めることができます。 多くの人々がSDGsを知っていますが、それをどう生活やビジネスの中で実現するかが課題となっています。そのためには、まずはどんな動機で実践するのかが大切です。上司が言うからやろうか、というのでは、サステナブルではないですよね。 IDGsは、SDGsをより身近なレベルで考え実践するために、それぞれの人が自分自身の行動を通じて、どのように社会に貢献できるかを具体化するためのフレームワークを提供しています。また、そんな人材を育成するための考え方でもあります。社会的な課題に対する意識を高め、行動を促すために重要な考え方なのです。