<チェリまほ>「言葉にしてくれなきゃわからない」安達と黒沢、お互いを思うがゆえの苦しい展開に反響多数
TVアニメ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(毎週水曜深夜0:00-0:30ほか、テレ東ほか/ABEMA・Hulu・Leminoほかで配信)の第9話が3月6日に放送された。柘植のおかげで気まずかった湊と六角の関係が変化。一方、安達には転勤の話が持ち上がる。思いを言葉にして伝えることの大切さが分かる2つのエピソードが描かれた。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】顔を赤らめながら、柘植(CV:古川慎)の背中に顔を埋める湊(CV:佐藤元) ■「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」とは 童貞のまま30歳を迎えたことで“触れた人の心が読める魔法”を使えるようになった主人公・安達清と、イケメンで仕事ができる同期・黒沢優一が繰り広げるラブコメディ。原作は「ガンガンpixiv」(スクウェア・エニックス)で連載されている豊田悠による同名漫画で、通称“チェリまほ”として知られている。2020年に赤楚衛二と町田啓太で実写ドラマ化、翌々年には劇場版も公開されたことで人気に火がつき、シリーズ累計発行部数280万部を突破した。海外翻訳版も出版されており、タイでもドラマ化されるなど、国内外で愛されている作品だ。 そんな「チェリまほ」がついにTVアニメ化。奥田佳子監督のもと、サテライトがアニメーション制作を手がけ、キャラクターデザインを「ハイキュー!!」シリーズの岸田隆宏が担当。安達役を「クールドジ男子」や「地獄楽」などでも主役を務める小林千晃、黒沢役を「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」や「Dr.STONE」でも活躍中の鈴木崚汰が務める。 ■湊と六角のわだかまりを解いた柘植の言葉 黒沢に魔法が使えることをついに打ち明けた安達。黒沢は自分の気持ちや妄想が安達に全て伝わってしまっていたことを恥ずかしがりながらも受け入れてくれ、二人は資料室で初めてのキスを交わした。 その頃、モニターイベントのアンケートに答えていた柘植(CV:古川慎)は、湊(CV:佐藤元)の大学時代の友人・六角(CV:白井悠介)に対する態度が気になっていた。友人にしては明らかに雰囲気がよそよそしい2人。柘植が両方の心を読むと、2人の思いがすれ違っていることに気づく。元々、同じダンスサークルに所属していた湊と六角。だが、六角は自分の才能に限界を感じ、就職活動に専念するためにサークルを辞めた。そのことがきっかけで六角は湊に避けられていると思っている。一方、湊は未だに夢を追っている自分とは違い、社会人として立派にやっている六角に引け目を感じていた。 そんな湊の複雑な思いに既視感を覚える柘植。学生時代から小説家を目指していた柘植もまた、友人である安達が社会人になったことで、勝手に引け目を感じて距離を置いていた時期があるのだ。けれど、安達は柘植を見放すどころか、新刊を出すたびに嬉しい反応をくれた。だからこそ、今も2人の仲は続いている。 そういう大事な友達を失いかけている湊にどんな言葉をかけるか。2人の間を取り持つことで柘植が得られるメリットはない。さらに言えば、もし六角が湊に対して少しでもそういう感情があったのだとしたら敵に塩を送ることになる。しかしーー。 「大人になってからも友人はできるが 腹を割って話せる学生時代の友人というのは得難いものだ」 柘植の率直な思いは湊の心に刺さった。そこに六角がモニターの謝礼品を持ってきて、湊は思い切って「たまには踊りに来いよ」と声をかける。こうして、2人の間にあったわだかまりは解けた。 イベント会場を出た後、甘えるように柘植の背中に顔を埋める湊。「柘植には弱いところも見せられる」という心の声にドキドキの柘植だったが、続く「なんかオヤジみたいで安心するんだよな…」という声に我に帰るのだった。 ■「言葉にしてくれなきゃわからない」 本作には恋愛関係のみならず、人間関係全般において大事なことが描かれている。第9話のテーマはいわば、「大事なことは言葉にして伝えないと伝わらない」ということだろうか。心の中で相手の気持ちを推測し、勝手に気まずくなっていた湊と六角はしっかりと向き合い、話すことでわだかまりが解けた。一方、安達は伝えるべきことを伝えなかったことで黒沢との間にすれ違いが生じてしまう。 ある日、部長に呼び出された安達。黒沢とのことがバレたんじゃないかとビクビクする安達だったが、部長から意外な仕事の話を持ちかけられる。それは長崎支店の立ち上げに言ってくれないか、という誘いだった。待遇も今より遥かによく、安達はなぜ俺に……?と戸惑いを隠せない。 おそらく今までは「俺なんて」と自分を卑下してきた安達だが、黒沢に惜しみない愛を注がれ、自分を肯定されたことで自信が出てきたのではないだろうか。以前よりも仕事に対して前向きな安達を見て、部長もこれなら大きな仕事も任せられると思ったのだ。 突然の栄転に驚きと喜びでいっぱいの安達。しかし、長崎に行けば、黒沢とは遠距離恋愛になってしまう。黒沢と離れるなんて安達には考えられなかった。なぜなら、触れられる範囲にいなければ、安達は黒沢の気持ちを知ることができないから。黒沢が何を思い、何を望んでいるのか。これまで恋愛経験のない安達にとって、その心を覗けないとなったら、どうしていいかわからないのだ。 安達が黒沢に転勤の話をできないまま数日が過ぎてしまい、結果的に黒沢は上司の朝比奈(CV:安元洋貴)からそのことを聞かされる。朝比奈は安達からどうしたら転勤の話を断れるかと相談を受けたという。安達が自分に相談せず、一人で決断したことにショックを受ける黒沢。「そんなに俺って頼りないのか 信用できないのか」と黒沢は、いつもの優しい笑顔ではなく、やるせなさや悲しみでいっぱいの表情で安達に迫る。 そんな時でも黒沢が望む言葉をかけようと必死にひねり出そうとする安達。「黒沢の心の声が聞けないと不安」。黒沢が本当に望んでいるのは、安達が飲み込んでしまった本音なのに。「言葉にしてくれなきゃわからない」という黒沢の一言が胸に響いた。 安達と黒沢がお互いを大切に思うがゆえの苦しい展開に、視聴者からは「長崎…遠いよなぁ…」「スウィートオフィスラブからのすれ違いの温度差と緊迫感がスゴかった」「安達が転勤になると、黒沢に会えないから直に触れられなくて、心の声が分からない…というのが切ない」「早く気持ちを伝えあって、仲直りしてほしい」「安達くん頑張って…!!」という声が上がった。 ◆文=苫とり子