円広志がキダ・タローさんを「音楽家では大作曲家。芸能界では関西を代表する大スター」としのぶ
「浪花のモーツァルト」の愛称で親しまれた作曲家のキダ・タロー(本名・木田太良)さんが14日に93歳で亡くなったことを受け16日、所属事務所「オフィスとんで」に所属する歌手の円広志が取材に応じた。 円は亡くなる数日前から、キダさんの妻・美千代さんから体調が悪いというメールや電話で報告を受けていたという。「ある程度は覚悟もしていました。亡くなる2日ほど前から、この何日間はちょっと山場になるかもわからないみたいなことを言われました」。覚悟はしていたため、電話をマネジャーから受けた時は「逝っちゃたなという感じでね。なんとか安らかな眠りであってほしいなという、そういう思いでした」と振り返った。 葬儀はすでに家族葬で営まれており、円も参列した。キダさんは線香の匂いが嫌いなため、電気で代用。大勢の人に来てもらうより、家族で静かにという希望もかなえられたという。作曲したコマーシャルソングや歌謡曲などが流れる中、順番に手を合わせ、お別れのあいさつ。「先生がお眠りになっているところを見て、ちょっとやせていたんです。結構男前やったんですよ。ビックリしました。奥様に結構男前やったんですねって言ったら『そうでしょう』って言われました」と笑った。 今年に入り、転んでケガをして一度入院。徐々に体力が衰えていったという。「93歳やから、老衰ということになるんですかって言うと『老衰だけは違う』って。じゃあ死因は何ですかって言ったら『自然やな』って。杖(つえ)をついて歩く姿を見られるのが嫌。自分が老人と見られるのが嫌な人でした」と円。最後まで自身の美学を貫き通したという。 音楽家として、またタレントとしても関西で大きな輝きを放ったキダさん。「キダ先生は本当に穏やかでゆるやかな大きな川を流れた芸能人。その意味では音楽家というくくりの中では大作曲家になるんだろうけど、芸能界で言えば大スターじゃないですか。関西を代表する本当に大スターだと僕は思います」と故人をしのんだ。
報知新聞社